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師匠&達人と保寧ガサガサ! その2 (今回はガサガサしてません)

前回の続き。

ガサガサを終えて、いったん達人の館に戻った我々。とってきた魚を再度分類して、シャワーをして、網やウェーダー等を洗って、ちょっと一服。この達人の館には、魚を分類し、シャワーをし、網やウェーダーを洗って干し、ちょっと一服するためのすべてのものが備わっている。素晴らしいったらありゃしない。

そして、夕食は今年5月にわしが訪れた際に行った海鮮屋にて、刺身&メウンタンを食べる事になった。


全羅道式なので、つきだしはこんなに出る。これでメインディッシュが出ていないんだぜ。


ふと窓のほうを見ると、おお?これは쇠똥구리(ソェットングリ フンコロガシ)じゃないか。
韓国にはフンコロガシの仲間が19種いるが、今はもうその殆どが糞を転がさず、済州島にいる種が絶滅危惧種になっている、というのがどこかに書いてあった。

そこでは、なぜか前回と同じく왜몰개(ウェーモルゲェ 和名ヒナモロコ Aphyocypris chinensis)の話をしたり、また前回と同じく뱀장어(ペムジャンオ 뱀(蛇)長魚 和名ニホンウナギ 日本鰻 Anguilla japonica)の稚魚실뱀장어(シルペムジャンオ 실(糸)뱀(蛇)長魚 シラスウナギ)の価格高騰の話などをした。なんでも今年、실뱀장어の1キロあたりの価格が韓国では4000万ウォンを超えたそうな。ひえぇ(;_;) ただ、達人の話によると、실뱀장어には1次・2次・3次があって、最初に河口にたどり着く1次は個体の大きさが大きく、後になってたどり着く3次は個体の大きさが小さいため、同じ1キロといっても個体数に差がかなり出るそうな。


でもって、帰ってからは「人数3人だけど、一応オフラインミーティングらしい事をしよう」ということで、師匠が達人조先生のパソコンでプレゼンテーションをしながら、論文のネタを3つほど披露する事となった。


ということで、まずはハゼの話から始める師匠。

要するに、ここから先は簡単に言うと、夜更けまでマニアトークが炸裂しまくったぞという話だな。

わしが耳で聞いて憶えている範囲で書いてみるので間違った情報があったらごめんなさい。


ハゼ亜目に分類される魚は世界的に見ても非常に種類が多く、韓国においても例外ではない。韓半島の西側、南側、東側にさまざまな種類のハゼが住んでいると。
でもって、ここ保寧でも20種類くらいのハゼが生息しているとのこと。「そんなにいるのか!?」と達人。ミミズハゼのような個体も師匠はここで採集していた。
その分類の系統樹は、近年、遺伝子を直接解析する方法がとられることにより、思っても見なかったことが分かるようになってきたと。
ちなみにこの「分子」のほうで系統樹をつくるのに関しては、らいあます殿が専門でいらっしゃいますな。


例えば、ムツゴロウ属は形態学的分類によるとトビハゼなんかと同じくオキスデルシス亜科に分類されるが、「分子」のほうで見てみれば、むしろワラスボ属に近いことが分かったりする。

さらに、普通の魚類は年代が進むごとに系統樹が枝分かれしていくけれども、ハゼ亜目の魚は、とある年代にていきなり多数の枝分かれをするのが多いそうな。

しかし、ハゼについては天皇陛下の論文によく行き当たる、と師匠ははにかみながら話していた。そして、昨年発見されたヒスイボウズハゼを見に日本へ行ってみたいとも言っていた。



続きましてはバラタナゴについて。한강납줄개(ハンガンナプジュルゲェ 漢江납줄개 和名ニセヨーロッパタナゴ Rhodeus pseudosericeus)を含めた考察。한강납줄개はわしにとって師匠との因縁の魚なのでな。
師匠は、납줄개(ナプジュルゲェ バラタナゴ Rhodeus sericeus)と유럽납줄개(ユーロプナプジュルゲェ 和名ヨーロッパタナゴ Rhodeus amarus)を分けていらっしゃいますな。
師匠の解説によりますと、「分子」の解析の結果、まずおおもとに납줄개がいて、非常に初期の段階で한강납줄개が分かれ、北の大陸に広まるにつれて유럽납줄개が分かれていったようであるとのこと。また、バラタナゴ属に限らず、すべてのタナゴにおいて、起源は東アジアにあると言って間違いなさそうだとのこと。


それでもって、한강납줄개の国内系統樹を作り出してみたのだそうな。
現在、한강납줄개は、
南漢江水系の①강원도 횡성군 섬강(カンウォンド フェンソングン ソムガン 江原道 横城郡 蟾江)
②강원도 횡성군 주천강(カンウォンド フェンソングン ジュチョンガン 江原道 横城郡 酒泉江)
③경기도 양평군 흑천(キョンギド ヤンピョングン フクチョン 京畿道 楊平郡 黒川)
④경기도 여주군 금당천(キョンギド ヨジュグン クムダンチョン 京畿道 驪州郡 金塘川)
唯一北漢江水系の⑤경기도 가평군 조종천(キョンギド カピョングン ジョージョンチョン 京畿道 加平郡 朝宗川)
そしてどういうわけか離れて⑥충청남도 예산군 무한천(忠清南道 礼山郡 無限川)
⑦충청남도 보령시 대천천(忠清南道 保寧市 大川川)

で生息が確認されている。
このうち、①と②は近く、③と④が近く、⑥と⑦が近い。そして、①②集団と③④集団よりも⑥⑦集団は遠かった。
問題は⑤で、解析の結果、③と同じ集団(差が0.00)という結果が出た。その原因となった可能性としては3つ。
A) ③と⑤のもともとの集団が歴史の浅い時期に分かれた可能性
B) ③の集団が洪水などの際に流されて、別な川をさかのぼり、⑤にたどり着いた可能性
C) ③の場所で採集された集団が中央内水面研究所で飼育中に脱走して⑤に住み着いた可能性

A)の可能性はわしが否定した。何故かと言うと、③の集団と⑤の集団との間には、ソウルから最も近い「標高1000mを超える山」がある。
一番可能性があるのは、実はC)だったりする。なにしろ内水面研究所は目と鼻の先だからな。⑤の集団はわしが見つけたことになっているだけに、この結果はうれしいやらがっかりやら、なんとも複雑な気持ちだ。A)B)の可能性を証明するためには、③と⑤の間にある川で한강납줄개の生息を確認せねばならない。こりゃわしへの宿題か? とほほー。

でもって、前回採集した한강납줄개が⑦にあたるわけだけど、師匠の資料によれば2006年1月10日に達人の弟子が採集してきたものを師匠が同定して最初の発見となったとのこと。この遺伝的特性が漢江水系の한강납줄개とどの程度の差があるのかを研究して師匠の学位論文を書くことになったという。
そして、⑥の水系と⑦の水系はともに独立河川水系なのだが、その川の最上流同士が200mと離れておらず、しかもその間の峠の高さが20メートルもないところがある。個体数の多さとしては⑥のほうが多いので、かつて⑥と⑦の川が水路のようにしてつながっていた時代に한강납줄개が行ったり来たりし、やがて地殻変動により2つの水系として分かれたのだろうという結論に達したとのこと。
これには皆も納得。特に達人はここにお住まいなだけあってこの辺の地理にも詳しいから、「それは大いにあり得る」と相槌を打っていた。

そして3つ目は、『韓国産각시붕어(カクシブンオ 和名ウエキゼニタナゴ カラバラタナゴ Rhodeus uyekii → Rhodeus sinensis)のオスの婚姻色とメスの配偶者選択』。

まぁ簡単に言うと、婚姻色の発色が良ければ良いほどメスが惚れるというのが実証されたと。
特に顕著だったのが、背びれと尻びれに見られるカロテノイド発色の帯と、尻びれ先端の黒い帯の太さだったという。それでオス同士は尻びれの黒い帯を突っついて尻びれを破れさせ、「メスに選ばれにくくさせる」のだそうな。


一方、達人からはさまざまな魚の生息位置情報がぽんぽん出た。
パソコンで衛星写真を見ながら、밀자개(ミルジャゲェ 和名ナガギギ Leiocassis nitidus)は生息に塩分が必要であり、洛東江のここからここまでの場所で出るとか、洛東江における은어(ウノ 銀魚 和名アユ Plecoglossus altivelis)の産卵場所とか、実は洛東江水系には人工でない「沼」が多く散在し、そこには백조어(ベクジョーオ 白條魚 和名ツマリカワヒラ Culter brevicauda)がわんさかいるとか。うおおお行ってみたい。でもそんなところ、網を持って入っていけないんじゃないか?

여울마자(ヨウルマジャ 和名不明 Microphysogobio rapidus)も達人は1000匹以上の単位で採集しており、そのポイントもいくつか見せていただいたが、わしが採集した場所よりも上流だった。もっともたくさんとれた場所は「深すぎて족대(ジョクデェ 大陸式のサデ網)じゃ無理だな」と言われた。

話はいろいろ飛びに飛んで、버들가지(ボドゥルガジ 和名セボシハヤ Rhynchocypris semotilus)の話にまで及んだ。버들가지という魚は韓半島の固有種だがほとんど北朝鮮に生息しており、韓国にとっては「幻の魚」でもある。고성군(コーソングン 高城郡)の統一展望台付近なら生息するだろうけど、北朝鮮との国境に近いため、その辺をうろつくには軍に出入申告をしなければならないし、たとえそれが通ったとしても川には地雷などが埋められていて、人が川に入るにはリスクが大きいぞ。なんて話もした。


いろいろ話しに話して、2時近くなったので、いいかげん寝る事となった。
というわけで、達人のオフィスにそのまま寝る事となった我々。達人も別室に奥様が寝ていらっしゃるから一緒にお休みになれば良いのに、パソコン前のマッサージチェアにてご就寝。わしと師匠は床に布団を敷いて寝たが、わしはいびきが大きいので他のお二方のお休みの邪魔になるのではないかとなかなか寝付けず、そのうちどういうわけか師匠がわしの脚を枕代わりに使い出したりして、まぁいいかと思いながら寝た。


続く!
次回はちゃんと魚とります。
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プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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