洛東江水系上流へ行ってみた。栄州ガサガサ

休みの日。デジカメも新しくした事だし、ちょっとガサガサしに行こうかな、と思い立った。
さて、どこへ行こう?そう考えたときに、낙동강(ナクトンガン 洛東江)水系に行ってしまおうかという思いになった。
洛東江水系といえば、簡単に言うと慶尚道のことだ。洛東江は河口が釜山にあり、我が家から見て遠いところにある河川と言える。しかし、その支流を含めて上流部というくくりにすると、要は慶尚北道の北のはずれにある場所を訪れれば、そこは事実上洛東江水系ということになる。具体的には、문경(ムンギョン 聞慶)とか영주(ヨンジュ 栄州)あたりが高速道路が通っていてアクセスしやすい洛東江水系と言うわけ。
ただ、過去に龍宮に行った事があり、そこは聞慶の近くなので、今回は栄州のほうに行ってみようと思った。
距離を考えればはっきり言って聞慶のほうが近い。しかし、聞慶に行くときに通る中部内陸高速道路は産業道路としての意味合いが強く、トラックやトレーラーが非常に多く走っており、また20キロメートル近い区間制限速度取締りをやっていて、その区間内は制限速度以下でずっと走らなければならないため、乗用車で走るのに大変ストレスがある。それに比べて、栄州のほうに行くときに通る中央高速道路は区間制限速度取締りをやっている距離も短く、トラックやトレーラーがちんたら走っていないので快適ではある。

ということで、高速道路を降りたところが栄州市のはずれ。
そして、そこに流れる川は龍宮で流れていた川の支流の支流……で合ってるかな。


距離にすると多分800メートルくらいの間をガサガサやってみた。いつもなら、魚がとれたところでその場で写真撮影を始めたりするから、時間単位で考えると歩き回る距離はさほどではない。しかーし、今回からはガサガサタイムはガサガサに徹し、撮影タイムは撮影に徹することにしたので、いつもよりも長い距離を練り歩くことになった。
 
それではとれた魚のご紹介。

수수미꾸리(ススミックリ 和名ヨコジマドジョウ Niwaella multifasciata → Kichulchoia multifasciata)
수수미꾸리(ススミックリ 和名ヨコジマドジョウ Niwaella multifasciata → Kichulchoia multifasciata)。洛東江水系といえばこれですよ。体のこの横縞もさることながら、オレンジに染まったヒゲやひれもラブリーですなぁ。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
今回あわよくばと期待した結果、とれたのがこれ。돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)。とほほー。모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)を期待したんだけどなぁ。あと25分がんばって走って、안동(アンドン 安東)まで行ったら出会えていたかなぁ。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)の皮質突起をバリアングル撮影してみる。液晶パネルが動くのはこういうとき便利だねぇ。しかし残念ながら、下あごにあるハート型模様の大きな部分が、真ん中にスジが入って縦に割れているのがわかる。このように二つに割れているのが돌마자。모래주사や여울마자(ヨウルマジャ 和名不明 Microphysogobio rapidus)はこれが割れていないのだ。

동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)。意外に多かった。というか、環境的に얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)が住んでいそうな植物の茂る泥底あたりでもこいつが出続けた。얼룩동사리がいなければ、동사리は얼룩동사리が生息しそうな場所にまで進出するが、逆に얼룩동사리がいれば동사리たちは얼룩동사리が好む場所から追い出される、と言う事なのかな?

기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)
기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)。とりあえず1匹だけ採集できた。でけぇ。

버들치(ボドゥルチ 和名コウライタカハヤ Rhynchocypris oxycephalus)
버들치(ボドゥルチ 和名コウライタカハヤ Rhynchocypris oxycephalus)。この場所が一応上流域だということを示すのか、それとも水温の低い場所だということを示しているだけなのか。しかしこいつら、本当にフィッシュイーター様たちのエサとして重宝するな。オイカワやカワムツの幼魚は運搬途中でスレて死んでしまうし。あまり知恵が働かないっぽいのもエサとして有難い。

참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)
さて、今回の個人的なヒットはこれ。
なんのことはない참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)なんだけど、実は참갈겨니は韓国には3タイプ生息している事が채병수(チェ・ビョンス)教授によって発表されている。

한강(ハンガン 漢江)・금강(クムガン 錦江)水系とその周辺の水系に生息する、HK型
낙동강(ナクトンガン 洛東江)・섬진강(ソムジンガン 蟾津江)とその周辺の水系に存在する、NS型
洛東江水系の主に上流部、および東海岸に注ぐ独立河川水系に生息する、NE型


その中で、これが今回わしが初めて出会ったNE型だった。
ちなみにこの場所にはNE型ばかり生息していたぞ。印象的だったのは稚魚。참갈겨니って、カラーリングがなんとなくブラックネオンテトラに似ているなと思ってはいたけれど、ここにいる稚魚たちは本当にブラックネオンテトラそっくり。

HK型、NS型、NE型がそれぞれどのように違うかというと、表にすればこんな感じか。

注目すべき場所HK型NS型NE型
胸びれオレンジの線が入るオレンジの線が入るオレンジの線が入らない
背びれのオレンジ色前のほうにちょっとだけ入るか、あるいは全然入らない前のほうから中ほどまで太いラインで入る前のほうにちょっと入る
背びれの黄色ほとんど入らない上のほうに広く入る上の前側のほうに入る


HK型とかNS型の참갈겨니はもう何度も捕まえているから写真くらいはあるだろう、と思っていたら、ここでちゃんと比較できそうなまともな写真が全然ないことが判明。とほほ。
仕方がないから興味がある方はこちらのリンクを踏んでみてくだされ。ブログページの作者はわしの知っている人ですが、そこに貼られている참갈겨니の写真と分布図は채병수教授が御自身でインターネット上に流したものです。

           http://blog.daum.net/water_and_life/23



日が暮れだしたので撤収。遠出をすると、帰り支度をしなければならない時刻も早まってしまう。
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tag : 洛東江水系

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No title

久しぶりのヨコシマドジョウですね。
韓国の淡水魚情報が少ないころから、この魚は日本でも有名でしたね。
私もお店で買った事があります。

カワムツは全部で4種類おるんですね、非常に興味深いです。
それにしても随分と複雑な経緯があったようですね。
ヨシノボリ類も3種類ではなく、実はもっといるかもしれませんね。
そんな期待を持ってしまいました。

No title

アキミツさま

今回の採集地、きれいな場所ですね。
光景を見ただけでわくわくしましたし、その後の魚たちがまたいい!

カワムツの話は私も知りませんでした。
オイカワ・カワムツ類をテーマに研究していた人間にとっては、かなり興味深い話です!!

韓国でも淡水魚を細かく見ていけば、日本のようにかなり細分化されていきそうですね。
そうなると、採集場所情報がかなり重要になってきますね。

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。

> 久しぶりのヨコシマドジョウですね。
> 韓国の淡水魚情報が少ないころから、この魚は日本でも有名でしたね。
> 私もお店で買った事があります。

ヨコシマドジョウは世界中のローチマニアから知られていましたから、日本のお店に入ってきたのもかなり前のようですね。


> カワムツは全部で4種類おるんですね、非常に興味深いです。
> それにしても随分と複雑な経緯があったようですね。
> ヨシノボリ類も3種類ではなく、実はもっといるかもしれませんね。
> そんな期待を持ってしまいました。

韓国のカワムツkoreanusがtemminckiiから別れたのが2005年です。分類されてまだ歴史が浅いです。
ヨシノボリ類も日本のような分類をしていけば、確かにもっといるかもしれません。

Re: No title

らいあます様
コメント有難うございます。

> カワムツの話は私も知りませんでした。
> オイカワ・カワムツ類をテーマに研究していた人間にとっては、かなり興味深い話です!!

実は、今回のガサガサでは、「オイカワ」を目標魚種にしていたのです。
カワムツではありません。
洛東江水系の上流部に「目の赤くないオイカワ(黒いオイカワ)」というのが棲んでいまして、そいつを狙っていたのですが、残念ながら今回はオイカワ一匹とれませんでした。^^;;;

No title

アキミツさま

眼が赤くないオイカワの話は、誰かから聞いたことがある気がします。
それと九州だったか、鼻先が赤くならないオイカワの話も。
広域分布種なので隠蔽種が出てもおかしくないでしょうね。

Zaccoからカワムツ類が抜け、台湾のオイカワ型がOpsariichthysになり、中国南部の未記載種もそれに近いことがわかっているので、Zaccoが寂しくなりました。
今こそ、新種発見の時かもしれません(笑)
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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