洪川江支流ポイント調査

2014新年明けましておめでとうございます。どうぞ今年もよろしくお願い申し上げます。

今年、日韓ちゃんぽん的にどのような年にしていこうか、まだ具体的な目標は立てていないが、今年行ってみようと思う地域を今のところ「日本海側」か「対馬海峡方面」かのどちらかにしようと考えている。

さて、2013年度のガサガサでまだ記事にしていないものがある。その中から、調査としてはまだ途中なのだが、以前こちらで「ちょっと上流のほうがどういうことになっているか、行ってみる価値がありそうだぞ。」と書いた、その続きをアップしたいと思う。

201310_.jpg

その川はこのような感じになっている。川の水は基本的に図の左から右へと流れ、一番右が홍천강(ホンチョンガン 洪川江)でここに注ぐ。川の名前としては「一番下のルート」が本流となるようだ。ちょっと見辛いと思うが、衛星写真上で確認した堰の位置を黄色で示してある。そして、こちらで採集を行った地点が「A」の地点。今のところ追加で調査を行った地点がB~Eの地点となる。

順番がちぐはぐで申し訳ないが、D、C、E、Bの順に説明していこうと思う。


まずはD地点から。この場所は実は「真ん中のルート」が流れる水の量が少なくて、一部区間では伏流水になっていたため、下流へと移動しながらとりあえず行き着いた場所なのだが、それでも水の量は豊富とは言えず、平均水深が10センチくらい、一番深い場所でもせいぜい25センチといったところだった。水はたいへん澄んでおり、川床の石には藻類の付着は殆どない。

ここの優占種はこいつ。
미꾸리(ミックリ 和名ドジョウ Misgurnus anguillicaudatus)
意外にも미꾸리(ミックリ 和名ドジョウ Misgurnus anguillicaudatus)。田んぼで養殖していたものが逃げ出し、そのまま住み着いたと思われる。
なんつうか、そこらじゅうの浅瀬でわらわらしている。

しかしながら、川の様相は明らかに上流であるからして、川の上流~最上流に住む魚たちがとれる。

둑중개(ドゥクジュンゲェ 和名キビレカジカ 黄鰭鰍 Cottus koreanus)
둑중개(ドゥクジュンゲェ 和名キビレカジカ 黄鰭鰍 Cottus koreanus)。最上流に住む魚の代表種と言える。

버들치(ボドゥルチ 和名コウライタカハヤ Rhynchocypris oxycephalus)
버들치(ボドゥルチ 和名コウライタカハヤ Rhynchocypris oxycephalus)。これも上流に多く住む魚だ。まぁ上流というよりは冷たい水の流れるところといったほうがいいか。

참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)
참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)。川の上流になればなるほど、피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)が少なくなり、こいつが多くなる。

미유기(ミユギ 和名コウライヤナギナマズ Silurus microdorsalis)
미유기(ミユギ 和名コウライヤナギナマズ Silurus microdorsalis)!! やはりいた。個体数は多くないが、目視して行動を観察できるほどだった。

퉁가리(トゥンガリ 和名コウライアカザ Liobagrus andersoni)
퉁가리(トゥンガリ 和名コウライアカザ Liobagrus andersoni)。むしろ個体数は미유기よりこいつのほうがずっと多い。生簀に入れておくと毒を出すので、できれば網にかかり次第即リリースしたい魚種。

참종개(チャムジョンゲェ 和名コウライシマドジョウ チョウセントゲドジョウ? Iksookimia koreensis)
他には、この참종개(チャムジョンゲェ 和名コウライシマドジョウ チョウセントゲドジョウ? Iksookimia koreensis)とか쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)とか돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)とか。

가재(ガジェ ザリガニ)
そうそう、가재(ガジェ ザリガニ)もとれた。これも川の最上流に住む生物のひとつだな。

Cの地点も、採集できる魚種としては大体同じ。ただし、この地点での優占種は참갈겨니か쉬리となった。Cの地点でも미유기はとれたし、가재もいた。ただし、Cの地点にある堰の下では미유기はとれなかった。かわりに대륙종개(デェーリュクジョンゲェ 大陸條鰍 和名不明 continental stone loach = タイリクフクドジョウ? Orthrias nudus)が堰の下では個体数がぐっと増え、堰の下の早瀬にて大量にとれた。


次にE地点。ここは完全に渓流の様相。とれる魚も、
참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)
참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)、そして
둑중개(ドゥクジュンゲェ 和名キビレカジカ 黄鰭鰍 Cottus koreanus)
둑중개(ドゥクジュンゲェ 和名キビレカジカ 黄鰭鰍 Cottus koreanus)。あと대륙종개を1匹目視。


さて、問題のB地点。

ここは上ルートと中間&下ルートが合流する場所であり、ちょうど合流するところに橋があって、この橋の下だけ深くなっていた。

下流に行けば浅く広い場所やら早瀬やら堰やらがあり、上ルート側はそのまま普通につながっていて、その上流には堰がある。中間&下ルート側は早瀬となっている。

ここでいくつか発見をした。

まず一つ目。中間&下ルートが合流する早瀬に、둑중개がいた。
둑중개(ドゥクジュンゲェ 和名キビレカジカ 黄鰭鰍 Cottus koreanus)
なんと、こんなところまで最上流種が来ていたとは。しかもこの둑중개、その場所から下流では一匹もとれなかったのだ。

二つ目。下流にある堰の下には、こいつがいた。そしてそいつは、その堰の上流からは一匹もとれなかった。
배가사리(ベガサリ 和名ホタテコブクロカマツカ Microphysogobio longidorsalis)
배가사리(ベガサリ 和名ホタテコブクロカマツカ Microphysogobio longidorsalis)。こいつは漢江水系の早瀬に住む魚の代表種といっても良い種なのだが、堰を登る力には限界があるのかもしれない。もちろん下流の洪川江ではたくさん出会う事ができる。
배가사리(ベガサリ 和名ホタテコブクロカマツカ Microphysogobio longidorsalis)
良く見ると婚姻色が出ている。ひれがオレンジに染まって、シブお洒落な感じ。

三つ目。上ルートから流れる水は、澄みきっているとは言い難い。そして、上ルートの川床には付着藻類がこってりとついており、すべり易くなっている。

참마자(チャムマジャ 和名ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris)
この上ルート側に限って、優占種はなんと참마자(チャムマジャ 和名ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris)。これは上の図のDやCの場所にはいなかった種だ。

얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)
そして上ルート側の砂地には얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)。これも上の図のDやCの場所にはいなかった。
どうやら、最初の図のEからBまでの間に、富栄養化を起こすものを垂れ流しているところがあるものと思われる。

피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)
피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)。上ルート側にはこいつもいた。

퉁가리(トゥンガリ 和名コウライアカザ Liobagrus andersoni)
中間&下ルート側の早瀬でも合流地点の下流側の早瀬でも퉁가리は現れる。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
もちろん同様に쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)も現れる。

돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)
돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)はどこでもいるな。

참종개(チャムジョンゲェ 和名コウライシマドジョウ チョウセントゲドジョウ? Iksookimia koreensis)
참종개(チャムジョンゲェ 和名コウライシマドジョウ チョウセントゲドジョウ? Iksookimia koreensis)も渓流域を除きどこでもいる。

대륙종개(デェーリュクジョンゲェ 大陸條鰍 和名不明 continental stone loach = タイリクフクドジョウ? Orthrias nudus)
대륙종개(デェーリュクジョンゲェ 大陸條鰍 和名不明 continental stone loach = タイリクフクドジョウ? Orthrias nudus)は早瀬を中心に生息するはずだが、こいつの分布は良く分からん。渓流地域にいたり、すごく下流にいたり……。

새코미꾸리(セコミックリ 和名ハナジロドジョウ Koreocobitis rotundicaudata)
そういえば새코미꾸리(セコミックリ 和名ハナジロドジョウ Koreocobitis rotundicaudata)。とれたことはとれたけど、採集個体数は全体を通しても미유기より少なかったな。こいつも漢江水系に分布する魚だが、もしかしてわしの家の前の川が生息個体数が多くて、他のところは個体数が少ないのかな?


さて、今までの調査で考察すべき点は次の通り。
●タナゴ類が採集できていない。恐らくはAとBの間にある堰の上下で生息域の限界があるものと思われる。
●꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)も採集できていない。これもやはりAとBの間にある堰の上下で生息域の限界があるものと思われる。


従って、今後の課題としては、AからBまでの間で、堰を中心として採集を試み、魚種の分布を見てみなければならなそうだ。もちろん、今までできていない下ルートでの採集調査と、中間ルートでも上流で水が豊富な場所を探しての採集も試みなければと思う。
もっとも、これらは雪が解けるまで我慢我慢。
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tag : 洪川江

コメント

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韓鮒でございます~

またまた興味深いテーマが掲げられましたね!
UPをお待ちしております。

今、EBSの韓国紀行の「漢江」というのを視ています(過去の動画で)。

このブログを読んでいるので、
併せ読む(併せ視る)と、
すごくよく韓国の川の様子がわかって、
勉強になります。

洪川江ガサガサ、期待しております!

Re: 韓鮒でございます~

韓鮒次郎様
コメント有難うございます。

> 今、EBSの韓国紀行の「漢江」というのを視ています(過去の動画で)。

Youtubeで見られるコンテンツでしょうか。
川の支流も皆漢江の名前になってしまっていて、ちょっとアレですが、ここで出てきた「松の実」がとれるところとか、すり鉢状にくぼんだ岩のあるところは、自分の住んでいるところから近いです。

No title

今年もよろしくお願いします。

フクドジョウは分類の難しい魚のようですし、渓流にいるのと
下流にいるのが別種だったりするとおもしろいですね。

ドジョウは遺伝子で見ると韓国に2タイプいるようで、
一方がM. anguillicaudatus、もう一つはM. mohoity
とされるものに一致しています。今回の記事にもある
ように養殖で放流されたりするので自然分布かどうか
はよくわかりませんが、自然分布だとすると後者は北部
にだけいるのかもしれません。

ただ形態差についてはよくわかりません。
ということでドジョウの真横からの画像も期待しています!

Re: No title

おいかわ丸さま
コメント有難うございます。

> フクドジョウは分類の難しい魚のようですし、渓流にいるのと
> 下流にいるのが別種だったりするとおもしろいですね。

韓半島の日本海側では、今回ご紹介した種とはまた別の分類になる종개(ジョンゲェ 條鰍 和名タカノハモドキ Siberian stone loach = シベリアフクドジョウ? Orthrias toni)が生息するとのことですが、このO.toniとO.nudusは師匠でも分類が難しいと言っています。
このO.toni、稜線の日本海側ではない地域でも江原道の山奥では生息するらしいです。ですから、ご指摘のようにある高さから上はO.toni、そこから下はO.nudusが分布しているとか、混ざっているという場合があるようですよ。


> ただ形態差についてはよくわかりません。
> ということでドジョウの真横からの画像も期待しています!

おいかわ丸博士、了解しました! ∠(`・ω・´)ビシッ!
2009年9月に大韓民国としてはすごく北にあたる日本海側の場所で採集した中にドジョウがいまして、旧日韓ちゃんぽんで記事にしたことがありますから、それも近いうちに再掲載したいと思います。

No title

遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。

あっザリガニだ!
すいません、魚より先に反応してしまいました。

フクドジョウは面白いドジョウですね。
私は早瀬にいるイメージです。
結構流れの早い場所の石の下から出てくるので最初は驚きました。
最近神奈川でも移入地があるようですし、適応力が高いのでしょうね。

加平の松の実、デカッ

やっと続きを視ました!
視る速度が遅くて、すみません!!!

あの松の実はすごいですね。

日本のものしかしらないので、かなりインパクトありました。

今まで韓国の市場で、松の実を見て、
「高けー」って思っていたのが、
「これは安くは売れないわ」と思いなおしましたよ。

あの手作業、
原始的、もとい李朝的手工業を見たら、
付け値の根拠に納得するしかないです。

それにしてもあのジャッククス、超美味そーですね。
私、コングクス大好き人間なので、
あの映像には唾液をギュッと搾り取られました。

日本の松からは、松の実は獲れないのか?、
朝鮮松の実は、加平産が一番有名なのか?、
みなあんなに大きいのか?
沸々と想像力がかきたてられました。

さらにはあの、なんなんですか?!?!
ナミ島へいけるロープすべり(?)は。

やってみたいです!!!

すばらしいところに住んでいるブログ主様が、
うらやましいです!

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

> あっザリガニだ!
> すいません、魚より先に反応してしまいました。

いや、正直なところ、自分もこのザリガニが出てくると魚よりも嬉しかったりします。(^^;;

> フクドジョウは面白いドジョウですね。
> 私は早瀬にいるイメージです。
> 結構流れの早い場所の石の下から出てくるので最初は驚きました。

はい、確かに早瀬にいます。明らかに、水の流れがあって、溶存酸素濃度が高いところにいますね。
こいつは酸素の消費量が激しい気がします。こいつが混じっていると、他の魚が鼻を上げ始めます。

Re: 加平の松の実、デカッ

韓鮒次郎様
コメント有難うございます。

> あの松の実はすごいですね。
> 日本のものしかしらないので、かなりインパクトありました。
> 今まで韓国の市場で、松の実を見て、
> 「高けー」って思っていたのが、
> 「これは安くは売れないわ」と思いなおしましたよ。

잦나무(ジャッナム 朝鮮五葉)の実ですが、確かに値段が高いです。
過去にサルを動員したけど、葉が痛くて断念した、という話は初めて知りました。


> さらにはあの、なんなんですか?!?!
> ナミ島へいけるロープすべり(?)は。

Zip Wireは自分もやってみたいのですが、値段が高い(3万ウォンを超えたような)のと、他の者が物怖じしてやりたがらないので、いまだ経験できていませんです。

Re:Re: 加平の松の実、デカッ

主様

Zip Wireというんですね!ああいうアトラクションだけではなく、
(話がちょっと広がっていしまいますが)、私はアメリカや日本のものをそのままスライドした製品やらアイデアやら、
ではなくて、なんらかの工夫をしたものを、韓国でもっとやってほしいです。
純オリジナルというのは難しいかもしれませんが、
日本でやっていない何かを見つけると嬉しいですね。
(このZip Wireがそうだという意味ではないです)
オリジナルなものなら、
是非、行ってみたいし、やってみたい、いつもそう思っています。

それにしても、
この「韓国紀行」、いい番組だと思います。ほかの特集もいろいろ視ている最中です。
またコメいたします!!!
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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