Blackムギツク!!

先日、우리 집사람の実家に行ってきた。

우리 집사람の故郷は全羅北道にある용담(ヨンダム 龍潭)ダムの近くにある。このダムは금강(クムガン 錦江)という川にある。大韓民国の川といえば、京畿道・忠清北道北部・江原道を流域に持つ한강(ハンガン 漢江)、慶尚北道・慶尚南道を流域に持つ낙동강(ナクトンガン 洛東江)、忠清北道南部・忠清南道・全羅北道北部を流域に持つ금강(クムガン 錦江)、全羅北道南部・全羅南道東部を流域に持つ섬진강(ソムジンガン 蟾津江)、全羅南道西部を流域に持つ영산강(ヨンサンガン 榮山江)の5つの河川に大体の川が行き当たる。韓国の4大河川と言うと한강、낙동강、금강、영산강となるのだが、実際は영산강よりも섬진강のほうがずっと流路延長が長いし流域面積も広い。


ちなみにこれが龍潭ダム。
わしはこの龍潭ダムができる直前の風景を覚えている。美しい早瀬の河原と、その支流となる小川に飛び交うハグロトンボの群れ。雨が降れば川底に沈むのではないかと思われる橋を渡れば小高い山があり、その山は100メートルも行かないうちに越えてしまって、その先にはまた雨が降れば川底に沈みそうな橋。そこを過ぎればまた小高い山と橋……。似たような風景が続くため自分がループの中に閉じ込められてしまったような感覚。そしてその橋のすべてが금강というただひとつの川にかかる橋であった。この景色は2度ほど見たが、次に우리 집사람の故郷を訪ねたときにはすでにこの景色は失われていた。

話を元に戻す。
今回行った場所は、その龍潭ダムの下流。ダムから割と近い場所でもある。実は2009年8月にも금강でガサガサを行っており、旧日韓ちゃんぽんのブログのほうに掲載していた。その際も龍潭ダムの下流でガサガサを行ったのだが、今回行った場所はそこよりも上流になる。

採集場所はこんなところ。橋ところには早瀬があり、その上流側は深くてもせいぜいひざ下くらいの水深で水が流れる。ただし反対岸付近は非常に深くなっていて、ガサガサするには危険な領域。
橋の下流側は植物がいろいろ茂っているのだけど、水深としてはへそより上の深い場所が多く、ここもまたガサガサをやりづらい場所となっていたが、칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライボテ Acheilognathus koreensis → Tanakia koreensis)や피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)あたりの今年生まれた稚魚がわんさかいた。
また、手前岸の側には10m×20mくらいの広さの止水域があった。この領域ではタナゴなどの水の流れの緩やかなところに生息する魚が期待できたが、いろいろ茂ったり溜まったりしているところをガサガサしても魚一匹出てこなかった。どういうことかと、ふと後ろを見ると、30センチクラスの베스(ベス 和名オオクチバス Micropterus salmoides)がこちらを伺いながらぐるぐる回遊していた。

正直言うと、成果に恵まれたとは言えない結果だったが、それでもここで見たかった魚は見ることができた。

감돌고기(カムトルコギ 和名クロムギツク Pseudopungtungia nigra)
絶滅危惧1種감돌고기(カムトルコギ 和名クロムギツク Pseudopungtungia nigra)キタ―――(゚∀゚)―――― !!
正直今回は出会えないのではないかと思ったけど、どうにか現れてくれたよ。
網に入ったときは、思わずキタキタキタキターッと叫んでしまった。

韓国には、以下の通りムギツクが3種類いる。

돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)
가는돌고기(カヌントルコギ 和名ホソムギツク Pseudopungtungia tenuicorpa) ※絶滅危惧2種
감돌고기(カムトルコギ 和名クロムギツク Pseudopungtungia nigra) ※絶滅危惧1種



まぁ「ムギツク」の和名を持っているのは、これのほかに쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)がいるけどな。
돌고기は全国のいたるところに生息している。가는돌고기は漢江水系の中・上流域に、감돌고기は錦江水系の一部に生息する。가는돌고기については、この辺とかこの辺をご参照いただければと思う。
감돌고기と普通のムギツクの違いは、가는돌고기との違いよりも分かりやすい。なんてったってヒレを見れば一目瞭然だからな。背びれ、腹びれ、尻びれ、尾びれは透明で、쉬리に似た矢形柄が入る。これ、旧日韓ちゃんぽんにも書いたけど、쉬리の和名にヤガタムギツクとつけたのは間違いだったのではないだろうか。감돌고기のほうが明らかに「ムギツク」だし。それに「黒」ムギツクだなんて、冬になったらムギツクみんな真っ黒やん。
そうそう、この3種はともに託卵をする。相手は主に꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)だ。
思えば、この감돌고기のときにらいあます殿が初めてコメントを下さったのでした。それ以来、らいあます殿には本当にいろいろお世話になりっぱなし。m(_ _)m
日本の観賞魚やさんの関係者から、감돌고기が入手できないかと問い合わせをされたこともあったけど、残念ながら韓国では絶滅危惧種は捕獲禁止。環境省から国外搬出の承認をもらうのも、韓国の魚類学のえらい先生と話をつけていない限りは無理なのではないかと思う。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)。Coreoleuciscusはいまだに1属1種だし、これの和名をわざわざヤガタ「ムギツク」にしなくても、シュリで良かったのではと、つくづく思う。
もっとも、形態的分類としては、いまのところ漢江・錦江タイプと洛東江・蟾津江タイプがあることが知られている。

칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライボテ Acheilognathus koreensis → Tanakia koreensis)
칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライボテ Acheilognathus koreensis → Tanakia koreensis)。オスはそこそこ流れのある石の下からとれた。朝鮮魚類誌が発行された日帝時代からずっとアブラボテと同一種視されていたが、1990年に卵の形が異なる(長い楕円形)ことで新種認定された。

꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)
꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)。これは去年生まれたはずだけど随分小さいなと思う個体や、写真のように十分おかずになる大きさの個体もとれた。漢江水系に生息する꺽지ではないため、体にスポットが現れていない。

징거미새우(ジンゴミセウ テナガエビ)
징거미새우(ジンゴミセウ テナガエビ)。韓国にはテナガエビが4種ほどいるらしいが、これがどの種に当たるのかは同定力不足でわからん。こいつもから揚げにして1人分のおやつになるくらいというか、メウンタンにしたら「だし」として十分なくらいの量がとれた。

동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
思いの他とれたのがこの동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)。旧日韓ちゃんぽん記事を参照すると、「なぜ早瀬のこんな流れの速い場所で동사리が何匹も網にかかるですか。ドンコっていったら普通居場所は水の流れが緩やかな泥底だろうが。葦なんかの注水植物がわさわさと生えた根元にヌマエビに混じっていたりするじゃないか。」なんてことを書いてる。今思うと稚拙限りなしで恥ずかしい。
水の流れが緩やかな泥底には얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)が住むのであり、동사리は流れのあるところでも生息し、ときには早瀬でも生息するのだ。水の流れが緩やかな泥底でも얼룩동사리が生息しない環境では、동사리がそこにいたりする。

눈동자개(ヌンドンジャゲェ 和名クロギギ Pseudobagrus koreanus)
눈동자개(ヌンドンジャゲェ 和名クロギギ Pseudobagrus koreanus)。これもそこそこメウンタンの食材として使えるレベルの大きさだ。
網にかかったときは、대농갱이(デェーノンゲンイ 大농갱이 和名ホソギギ Leiocassis ussuriensis)かと思った。網に引っかからなかったし、胸びれの前のほうを触ってみても引っかかるのを感じなかったからな。でも、대농갱이と同定するにはヒゲが長い気がするし、総排泄孔から尾びれにかけてもあまりくびれた様子もないし、ということで、改めて胸びれをしっかり触ってみたところ、やはり思いっきり引っかかったので、これは눈동자개だと同定した次第。


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アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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