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ウサギギギ!! 師匠と一緒に永川ガサガサ

職場にて、突然休みをもらえることになった。
突然休みになるというのも、いただくほうにとってはちょっと不便だ。あらかじめ休みが決まっていたら、それなりに計画を練ることが出来るからな。
子供たちはまだ夏休みに入っていないし、どうしようかなと思ったところ、ここはちょっと魚たちに会いに行くしかないだろう、と思い立った。おりしもご存知の通り今年の5月末から6月にかけて、韓国はMERSコロナウイルスで大騒ぎとなり、観光や人の多いところへ行ったりすることは自粛ムードとなっている中。人気(ひとけ)の少ないところに行くにはまぁいいんじゃないのかな、と思うに至った。
そこで師匠に連絡したら、とりあえず1日だけだけどOKが出た。よっしゃー、久しぶりに師匠とガサガサだぜ。

そんなわけで、片道320kmほど走って慶尚北道は영천(ヨンチョン 永川)まで行ってきたぜ。

ちなみにこの永川ってところ、航空機部品を作っているところがあるらしく、高速道路を降りてすぐのところにボーイング747のオブジェがあった。あとでニュースを調べて分かったが、今年の5月28日に、「ボーイング航空電子MROセンター」というのができたらしい。

朝8時半待ち合わせのところ、8時ちょっとすぎに待ち合わせ場所に到着。師匠より早く着いたろうなと思っていたら既に師匠はその場所にいた。しかも「ちょっと川の様子を見てきた」という。なんてこったいさすが師匠。
待ち合わせ場所から川までは本当にすぐそこ。とりあえず車を移動して、川の脇に駐車。ウェーダーを履きつつ師匠から簡単に説明を受ける。

ここの川は낙동강(ナクトンガン 洛東江)水系の支流。낙동납자루(ナクドンナプジャールー 和名なし ラクトウタナゴ? Tanakia latimarginata)や참쉬리(チャムシュイリ 和名なし 青緑ヤガタムギツク? Coreoleuciscus aeruginos)はほとんどいない。そのかわり嶺東独立水系以外の場所としてはほぼ唯一と言える잔가시고기(ジャンガシゴギ 和名ミナミトミヨ 南富魚 Pungitius kaibarae)の生息場所であり、ここの잔가시고기は陸封化されて久しいため、近親交配が続いて「遺伝子が単純」だという。
ところで잔가시고기、上で「和名ミナミトミヨ」と書いてしまったけど、日韓ちゃんぽんの昔の記事を読んでくださっていた方はご存知かと思うが、明らかに日本の京都などに生息していた「ミナミトミヨ」とは別種らしい。「らしい」というのは、日本のほうで生きている個体が発見できないので、最新の分類学的手法で比較できないから。だから、日本側からすれば、韓国の잔가시고기は学名をPungitius SPということにしてほしいところだけど、韓国はいまだkaibaraeを使い続けてる。ただ、韓国も韓半島日本海側の「北側」と「南側」とで잔가시고기の形態的差異を認めている。でも別種として記載するには至っていないようだ。はやく잔가시고기について国際的にきちんと整理されることを願って止まない。

話を元に戻す。
それと、ここには天然記念物であり絶滅危惧1種でもある꼬치동자개(ッコチドンジャゲェ 和名ウサギギギ Pseudobagrus brevicorpus)がいるという。分かっていらっしゃると思うが「ウサ」「ギギギ」じゃなく「ウサギ」「ギギ」だ。ちなみに꼬치동자개を直訳すると「串ギギ」になる。串焼きにして喰っていたのかしらん。
この꼬치동자개、一昔前は図鑑などにも「水がきれいで底に小石や大きな石がある河川中・上流に生息する」と書かれていたのだけど、これにこのブログでもときどき登場される達人조先生が反駁。「川底に落葉などが堆積していて、水の流れの殆どない、そこそこ深い川底」に生息すると唱えだした。でもって最新の情報はこの達人조先生の説が有力ということになっているらしい。

で、師匠が「ここに잔가시고기や꼬치동자개がいる」と案内してくださった場所がこんなところ。

20150706175002.jpg
うーむ、確かに止水域と言えるだろうねこれは。
ちなみにこの写真では、水は一応画面下から上側へとながれている。画面下の見えないところには用水路の出口があり、30センチほど高い位置から水が流れ落ちていて、その真下は非常に深くなっている。そして高低差が殆どない状態で画面奥の川と繋がっている。この場所と川本流との間にはうっそうと茂った注水植物が。
師匠とわしはこの場所にへその上まで水に浸かりながら(ガサガサやるには深い)網を入れてみた。こんな場所だったら、バラタナゴ属とか참붕어(チャムブンオ 和名モツゴ Pseudorasbora parva)、왜몰개(ウェーモルゲェ 和名ヒナモロコ Aphyocypris chinensis)、얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)がいるような感じだよなぁ、ギギ類がいるというのはにわかにも信じ難いなぁと思いながら網を入れたら、
なーんと一発目でわしの網に「ギギギ様」いやいやウサギギギ様がお目見えに!!

꼬치동자개(ッコチドンジャゲェ 和名ウサギギギ Pseudobagrus brevicorpus)
なんというカクレクマノミのごとき愛らしさ (*´ω`*)
ギギを幼形成熟させたというか、そんな各所の丸っこさ。実際成魚でも体長10センチを超えないらしいし。
日本の天然記念物ネコギギも、実物見たことないけど、こんな感じなのかな。

で、トータルしてわしのところには3匹、師匠のところには1匹網の中に入り込んでくださった。
それはそれとして、ここにいるはずの잔가시고기が一匹もわしの網にも師匠の網にも入らない。どうなっとるんだ。얼룩동사리は取れるんだけどねぇと師匠に言ったら、師匠曰く、
「それ、国内外来種だから」
おまいがっ。なんと本来この河川には얼룩동사리が生息していなかったのだそうな。それが恐らくは無分別な放流によってジャンボタニシやらと一緒に入り込んだのだろう。で、얼룩동사리が爆発的に殖えてしまっている状況との事。結局この場所で我々がメインとしてやった結果が「얼룩동사리狩り」になってしまったことは十分想像していただけると思う。

しばらくすると師匠は「얼룩동사리狩り」に飽きてしまって、川本流のほうへと足を進めていった。それに従うわし。
上の写真でいうと、橋の下あたりには早瀬があり、その上流側は注水植物の生い茂るちょっとだけ流れのある場所となっている。また早瀬の間に砂が堆積している場所もある。早瀬の手前ではかぼちゃ大の石がごろごろしている場所もある。これはいろんな魚に出会えそうだ。
そう思いつつ、まずは手始めに注水植物の生い茂るところをガサガサしてみたら、なんとここでお目当ての잔가시고기が!! ワーオ、こっちに移っていたのだね。얼룩동사리が怖くて逃げ回っていたのじゃないかと妄想する。

잔가시고기(ジャンガシゴギ 和名ミナミトミヨ 南富魚 Pungitius kaibarae)
でもって、これが師匠がとった잔가시고기。うわでかっ。わしが採集できたのが体長せいぜい3センチのところ、こいつは5センチくらいある。こんな大きさの잔가시고기、江原道高城郡(つまり韓半島日本海側の「北側」)では全然お目にかかれなかった大きさだぞ。それにここ(つまり韓半島日本海側の「南側」)の잔가시고기は、トゲがブルーに輝くぞ。(「北側」は黒いトゲ)

この잔가시고기たちと一緒に、タナゴのチビッ子がいっぱいいたが、師匠によると납자루(ナプジャールー 和名ヤリタナゴ Acheilognathus lanceolatus → Tanakia lanceolata)ではないかとのこと。写真割愛。

あとはまぁ、こんな感じ。
참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)
참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)のNS(洛東江・蟾津江)型。この場所では師匠はNE(洛東江・東側独立水系)型や갈겨니(カルギョニ 和名カワムツ Zacco temminckii → Nipponocypris temminckii)も採集経験があるという。どうやって棲み分けてるんだろう。棲み分けどころか、交雑してたりして。

참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)
これも참갈겨니のNS型。

얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)
얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)。結構狩りましたぜ。( ̄ー ̄)ニヤリ
師匠はこいつらを片っ端からアルコール漬けにしてお持ち帰りした。

기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)
기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)。

동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)。早瀬にいた。こいつは在来種。ちなみに早瀬ではやっぱり참쉬리(チャムシュイリ 和名なし 青緑ヤガタムギツク? Coreoleuciscus aeruginos)と出会うことは出来なかった。

꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)
꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)。早瀬があって、その早瀬の手前にかぼちゃ大のゴロゴロした石がある環境では、こいつがいないわけがない。

돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)
そして꺽지のいるところ、託卵野郎돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)がいないわけがないか。

각시붕어(カクシブンオ 和名ウエキゼニタナゴカラバラタナゴ Rhodeus uyekii → Rhodeus sinensis)
꼬치동자개が出た場所でとれた각시붕어(カクシブンオ 和名ウエキゼニタナゴカラバラタナゴ Rhodeus uyekii → Rhodeus sinensis)。夏だというのに、なかなかよい発色。ちなみに師匠の網には각시붕어が入らなかった。

버들붕어(ボドゥルブンオ 和名チョウセンブナ Macropodus ocellatus)
でもって각시붕어の後ろにいたのが、師匠がお魚キラーを「深いところ」にしかけてとれた버들붕어(ボドゥルブンオ 和名チョウセンブナ Macropodus ocellatus)。これまた綺麗だなぁ。

자가사리(ジャガサリ 和名ミナミアカザ Liobagrus mediadiposalis)
早瀬では자가사리(ジャガサリ 和名ミナミアカザ Liobagrus mediadiposalis)も採集できた。念のため採集時に魚を入れる水槽を2つに分けて、자가사리を入れたほうは重要でない魚を、入れないほうは重要な魚を入れていたのだけど、やっぱりというか、자가사리を入れたほうは他の魚が昇天もしくは虫の息状態に。これだから韓国のアカザは採集に悩むっす。(>_<)

あとは붕어(ブンオ 鮒魚 和名フナ Carassius auratus)とか돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)とか수수미꾸리(ススミックリ 和名ヨコジマドジョウ Niwaella multifasciata → Kichulchoia multifasciata)とか。

꼬치동자개(ッコチドンジャゲェ 和名ウサギギギ Pseudobagrus brevicorpus)
もう一度꼬치동자개。本当に、こいつらがとれた場所は、歩くと黒いものが底からわぁっと浮かび上がるような場所で。こういう場所に住むからには、こういう場所に生息している虫とかを食べているのだろうけど、水に浸かった落ち葉を食べて暮らす虫ってどんなのがいたっけ?

20150706174522.jpg
反対岸から撮影した風景。꼬치동자개や자나가시고기たちが얼룩동사리などに喰われずに末永く繁殖することを願う。


続く!
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tag : 洛東江水系

コメント

非公開コメント

ウサギギギ、すごい!

アキミツさま

ウサギギギ、すご〜い!! (「ギ」並び過ぎ(笑))
天然記念物でもレアではないんでしょうか。
韓国名の直訳「串ギギ」もおもしろいですね。串のように細い訳でもないし・・・
串にささった焼き鳥とか?

ウサギギギの生息場所を見て、ギバチと似てるのかなって思いました。
ギバチは当然、水がすんだ石の多いレキ底にもいますが、田んぼや畑の側溝にもいますもんね。
初めて、そういうところで採った時は、「こんなところにもいるんだ〜」と正直、驚きました。

それと、Nipponocypris koreanusも写真でまじまじ見ると、やっぱりカワムツとは雰囲気というか、感じが違いますね。
N. koreanusの採集された場所は山間部ではなさそうですし、生態的にはヌマムツに近いんでしょうか・・・。


急な休みでも充実した採集、いいですね〜。

Re: ウサギギギ、すごい!

らいあます様
コメントありがとうございます。

> 韓国名の直訳「串ギギ」もおもしろいですね。串のように細い訳でもないし・・・
> 串にささった焼き鳥とか?

自分も最初にこの名前を聞いた時、「串焼きにして食べていたのか」と思いました。


> ウサギギギの生息場所を見て、ギバチと似てるのかなって思いました。
> ギバチは当然、水がすんだ石の多いレキ底にもいますが、田んぼや畑の側溝にもいますもんね。
> 初めて、そういうところで採った時は、「こんなところにもいるんだ〜」と正直、驚きました。

なるほど、ギバチですか。
ギバチが田んぼや畑の側溝なんてところにもいるとは。
コウライギギが干潟のような泥底に穴をあけて暮らしているのを見た時にはびっくりしました。
ナマズ科は奥が深いですね。


> それと、Nipponocypris koreanusも写真でまじまじ見ると、やっぱりカワムツとは雰囲気というか、感じが違いますね。
> N. koreanusの採集された場所は山間部ではなさそうですし、生態的にはヌマムツに近いんでしょうか・・・。

N. koreanusは、オイカワよりももっと上流域に生息する印象があります。
川の上流に行きますと、オイカワもいない場所にコウライタカハヤやコンゴウハヤと一緒に普通に生息しています。
顔つきも、ヌマムツと異なる感じがします。目が大きく感じますです。

No title

アキミツさま


お世話になっております。

ギギギ様素晴らしいですね。
こういう丸っこくて小さい生物は好きです。

韓国は日本に比べて北方系の生物相かと思いますが、さすが大陸というか、魚もいろんな分類群がいますね。
トゲウオと同じ場所にグラミーがいるのはズルいです苦笑。

Re: No title

Nyandful様
コメント有難うございます。

> 韓国は日本に比べて北方系の生物相かと思いますが、さすが大陸というか、魚もいろんな分類群がいますね。
> トゲウオと同じ場所にグラミーがいるのはズルいです苦笑。

なにをかくそう熱帯魚水草水槽でドワーフグラミーの代わりにチョウセンブナを入れていた自分です。
チョウセンブナの生息域が反則なのだと思いますです。なんでアナバスのくせに冬氷張った用水路で生きてますかね。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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