何度目の正直!? 秋夕の蟾津江ガサガサ

ほぼ毎年行っているのだが、今年の추석(チュソク 秋夕 韓国の旧盆)も우리 집사람の実家に行ってきた。
そして、秋夕あたりに行くときにはほぼ毎回チャレンジしているのが섬진강(ソムジンガン 蟾津江)。우리 집사람の実家から車でちょっと飛ばして30分~1時間あたりの蟾津江本流か、支流でも本流に近いところへ行っている。実家からは実は금강(クムガン 錦江)のほうがずっと近いのだけど、わしの心は蟾津江のほうに向いてしまう。
その成果といえば、2010年の時はこちら。2011年はこちら。2012年はこちら。2013年はなくて、2014年はこちら
さて、今年の韓国の秋夕は9月27日。ちょうど日曜日となったため、なんか法律が変わって29日も休みとなった。もともと秋夕とその前後1日を含む3日間は休みになっていたため26日と28日も休み。ということで韓国では4連休となった。우리 집사람と子供たちは義弟の車で金曜日の夜に7時間ほどかけて実家へ行き、わしはというと、秋夕当日の午前2時頃出発して、そしたら道路が全然混んでなくて、普段の時よりもずっと早い2時間半で到着してしまった。

さて、ガサガサ遠征は秋夕の翌日に行った。当初は秋夕当日の深夜を考えていたのだけど、なんか親戚一同で구봉산(クーボンサン 九鳳山)に行こうということになった。実際この山には九つの峰があるんだけど、KONESTによると漢字表記では九「鳳」山らしい。韓国で調べたら「봉」の字は「鳳」も「峰」も「峯」も出てきて、どうしたもんだろうなぁ。まぁともかく、なんでも今年8月に「韓国で一番長い吊り橋」ができたらしい。小学生低学年もいることだし、진안(ジナン 鎮安)郡の名勝마이산(マイサン 馬耳山)と同レベルのハイキングコースかと思いきや、着いてみたらこれがまた想定外で。


구봉산 구름다리
確かにまぁこの通り、吊り橋は絶景だったのだけどね。
この九山登山については、まるまる一つの記事ネタにしたいくらいの内容があるのだけど、そこはそれ、日韓ちゃんぽん的にはガサガサのネタを最優先するということで、まぁ要するに、秋夕当日は疲れたので深夜ガサガサには出かけなかったとご理解いただければ。

※水色部分が記事修正部分。最初は「九峰山」とだけ書いてました。

そんなわけで、今回行った場所はこちら。

堰の下に釣り人が二人。あと川遊びと思われる家族が1世帯。わしがガサガサを始めるとほどなくして家族はいなくなった。

なお、ここはどんなところか簡単に説明しておく。ここは蟾津江の本流。堰の下の広くなっているところで베스(ベス 和名オオクチバス Micropterus salmoides)が悠々と泳いでいるのを目視確認。実にがっかり。ちなみに帰りがけに堰の真下をガサガサしてみたら、블루길(ブルルーギル 和名ブルーギル Lepomis macrochirus)が網に入って更にがっかり。
堰の下は250メートルほどの長さにわたって、ところどころ休みのあるゆるやかな早瀬となっている。ただ、その早瀬部分のかなりの区間にわたって、川底が岩盤となっており、一枚岩がむき出しのところもあれば、角の取れてないごつごつした石が固く積み重なっているような場所が多かった。そうした石ごつごつの場所からは밀어(ミルオ 和名不明 ヨシノボリの一種 Rhinogobius SP.)くらいしか網にかからなかった。
そして条件的に厳しかったのが、「豊富な砂底」を探すことができなかったことだ。早瀬と早瀬の間のちょっと流速が落ちたところでは、砂が堆積しているはずのところに水草が茂っていた。その場所に入り込んでみて分かったことだが、砂の層は極めて薄そうだった。

やってるうちに日が暮れてしまったので、一休みしてから撮影タイム。

참몰개(チャムモルゲェ 和名コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae)
ここでの優占種は、なんと참몰개(チャムモルゲェ 和名コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae)。
いやぁこれは意外。堰の真下は知らんけど、少なくとも早瀬の部分と、早瀬が終わった止水域の一部は完全に피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)よりもこいつのほうが数が多い。夕方日が暮れてからさらに多くなったのは、日中たぶんどこかに隠れていたものと思われる。

참몰개(チャムモルゲェ 和名コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae)
ちなみに韓国ではモロコはヒナモロコを除き4種生息する。
韓国のモロコの同定方法は、背びれの基点から側線までのうろこの数を数えて、3.5枚なら긴몰개(ギンモルゲェ 和名ホソモロコ Squalidus gracilis majimae)。他は4.5枚のはず。で、側線の上のほうに瞳孔大の暗点が点々と並んでいたら점몰개(ジョムモルゲェ 和名コウライイトモロコ Squalidus multimaculatus)だがこいつは日本海にそそぐ一部独立河川水系にしかいないのですぐ分かる。
そして、ヒゲが目の直径より短いのが몰개(モルゲェ 和名不明 コウライデメモロコ? Squalidus japonicus coreanus)。長いのが참몰개だ。참몰개は他に、目の上側に赤が入ることでも区別できる。

갈겨니(カルギョニ 和名カワムツ Zacco temminckii → Nipponocypris temminckii)
참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)がいるなと思ったら、よく見たら胸びれにオレンジ色が入っていない。写真に撮って、背びれの基点から側線までのうろこの数を数えてみて、갈겨니(カルギョニ 和名カワムツ Zacco temminckii → Nipponocypris temminckii)と同定。
そういえば、蟾津江には日本に生息するものと同種とされるカワムツが生息していたのだったなと、改めて実感。
ちなみに、蟾津江に生息する참갈겨니はNS型といって、「胸びれにオレンジの線が入る」「背びれのオレンジ色は前のほうから中ほどまで太いラインで入る」「背びれの黄色は上のほうに広く入る」という特徴を持つ。
このカワムツたち、お持ち帰りしたのだけど、水槽から飛び出さないな。참갈겨니や피라미はすぐに飛び出すから網蓋がひつようなのに。

참중고기(チャムジュンコギ 和名ミナミヒガイ Sarcocheilichthys variegatus wakiyae)
참중고기(チャムジュンコギ 和名ミナミヒガイ Sarcocheilichthys variegatus wakiyae)。石をめくって2匹ゲット。何枚石をめくったかわかりゃしない。やはり참중고기は努力の証し。
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왕종개(ワンジョンゲェ 王條鰍 和名ナガシマドジョウ Iksookimia longicorpa)
水草の茂っているところをガサガサして、ドジョウとタナゴをゲット。まずは왕종개(ワンジョンゲェ 王條鰍 和名ナガシマドジョウ Iksookimia longicorpa)。いやぁ、久々のナガシマドジョウですよ。

왕종개(ワンジョンゲェ 王條鰍 和名ナガシマドジョウ Iksookimia longicorpa)
왕종개の骨質板をチェキ。
ちなみにこの왕종개と、참종개(チャムジョンゲェ 和名コウライシマドジョウ チョウセントゲドジョウ? Iksookimia koreensis)は生息場所や体の模様が似ているが、참종개は蟾津江には生息せず、왕종개はえらぶたというか胸びれのすぐ後にある模様が「とても黒い」のですぐ分かる。

줄종개(ジュルジョンゲェ 和名不明 Korean striped spine loach = コウライスジシマドジョウ? Cobitis tetralineata)
そして蟾津江には固有種줄종개(ジュルジョンゲェ 和名不明 Korean striped spine loach = コウライスジシマドジョウ? Cobitis tetralineata)がいる。こいつは蟾津江水系にしかいない。個人的にCobitisの中で最も完成度の高い模様を持つと思う。

줄종개(ジュルジョンゲェ 和名不明 Korean striped spine loach = コウライスジシマドジョウ? Cobitis tetralineata)
줄종개の骨質板をチェキ。

납지리(ナプジーリー 和名カネヒラ Acheilognathus rhombeus)
続いてタナゴ。まずは납지리(ナプジーリー 和名カネヒラ Acheilognathus rhombeus)のオス。大きさもさることながら婚姻色がなかなか良い感じだが、ケンカしすぎたのか、ひれが傷ついている。

납지리(ナプジーリー 和名カネヒラ Acheilognathus rhombeus)
同じく납지리の出始めたオス。とりあえずカネヒラはパッと目に付くからな。


パッと目に付かないタナゴたちを集めてみた。なんか一匹「ボテ」がおるねぇ。

칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライボテ Acheilognathus koreensis → Tanakia koreensis)
その「ボテ」を抜き出してみた。これは칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライボテ Acheilognathus koreensis → Tanakia koreensis)。
蟾津江にはこの칼납자루と임실납자루(イムシルラプジャールー 任実납자루 和名不明 Seomin bitterling = ソムジンボテ? Acheilognathus somjinensis → Tanakia somjinensis)が生息する。임실납자루は칼납자루よりも色が濃くなく、特に瞳孔の周りの色ははっきりと칼납자루よりも薄いとのこと。そして、卵の形が決定的に違う。임실납자루の卵はアブラボテと同じような丸い形。칼납자루の卵はラグビーボールのような長楕円形。
ちなみに師匠によると、임실납자루とアブラボテとの遺伝子的な違いの研究がされていないのだとか。それで今師匠がそれに取り組んでいるらしい。師匠は日帝時代に日本からアブラボテが持ち込まれて定着した可能性も考えているらしい。

납자루(ナプジャールー 和名ヤリタナゴ Acheilognathus lanceolatus → Tanakia lanceolata)
その他大勢のタナゴは皆납자루(ナプジャールー 和名ヤリタナゴ Acheilognathus lanceolatus → Tanakia lanceolata)のようで。採集から撮影まで時間が経っているから、採集直後はもしかしたら1匹くらいは큰줄납자루(クンジュルラプジャールー 和名オオイチモンジタナゴ Acheilognathus majusculus)がいたかもしれないけど。
납자루(ナプジャールー 和名ヤリタナゴ Acheilognathus lanceolatus → Tanakia lanceolata)
こちらも납자루。
さて、今回は「豊富な砂底」を見つけることができなかったこともあり、カマツカは一匹も出会うことができなかった。その中で、かろうじてMicrophysogobioが2匹採集できたのだが、よく見るとそのうちの1匹が、頭部が「長い」。

모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)
こいつなのだが、もしかしたらと思って師匠に問い合わせたところ、「疑う余地なく모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)」とのこと。
모래주사が来てくれてたよヤタ━━━━ヽ(*'∀`*)ノ━━━━ッ!!
採集時にも撮影時にも気が付かなかったのだが、体の横に細い金緑色の縦ラインが入っているな。

모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)
下から撮影したところ。おなかはすっかりうろこで覆われているようだ。これも모래주사の特長。모래주사によく似た돌마자は、おなかの真下の部分にうろこがなかったりするらしい。「なかったりする」というのは、昔は「ない」と言われていたけど、おなかの真下の部分までうろこに覆われている돌마자もいるらしいのだ。

모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)
모래주사の口。下唇にあるハート状の突起が、「모래주사は枕のように一体、돌마자は真ん中で縦に分かれている」とのことだが、今回の写真では今一つ見分けがつかないな。

모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)
모래주사の口を前から。皮質突起の広さを感じさせる。

모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)
모래주사を上から。やはり顔が「長い」。この写真を見てか、師匠が「瞳孔が白濁しているようなので、健康状態よくないかも」とコメントした。以前のことが思い出されて、ちょっと悲しくなった。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
一方こいつは돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)。頭部が「普通に短い」ほう。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
돌마자の口を前から。口元がきゅっと狭まっている。以前、『その皮質突起が始まるところが돌마자はすぼまっていて、「Ω」こんな感じになっている。一方모래주사はすぼまらずに「Д」こんな感じになっている。』と書いたが、今回見てもやはりそんな感じだ。

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たった1匹だけだったが모래주사に出会えた。いやはや、これで何度目の正直だろう。
いつかはこっそりと모래주사の大量生息地に出会いたいものだ。
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tag : 蟾津江

コメント

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No title

アキミツ様、こんにちは。

そんな訳だったんですね。師匠さん、岡山では熱心にアブラボテを採集されていましたよ。
「少なくとも、30匹は欲しいんだ。」とか何んとか。(^^)

こりゃぁ~凄い!立派な吊り橋ですなぁ。九峰山登山・・・・、私でも登れますでしょうか。
Daum地図には吊り橋が見当たりませんが、場所は「강원 춘천시 동면 순환대로」で合ってますか。


Re: No title

井上様
いつもコメント有難うございます。


> アキミツ様、こんにちは。
>
> そんな訳だったんですね。師匠さん、岡山では熱心にアブラボテを採集されていましたよ。
> 「少なくとも、30匹は欲しいんだ。」とか何んとか。(^^)

師匠の成果が実ることを期待したいです。
もし本当に、임실납자루とアブラボテが同種ということになったら、形態地理学的に「蟾津江にはカワムツがいるからさもありなん」で済まされるのか、それとも東津水利組合に携わった人があやしいということになるのか…どうなのでしょうね。


> こりゃぁ~凄い!立派な吊り橋ですなぁ。九峰山登山・・・・、私でも登れますでしょうか。
> Daum地図には吊り橋が見当たりませんが、場所は「강원 춘천시 동면 순환대로」で合ってますか。

春川のほうにあるのは八峰山ですよ…ってそれは厳密には春川ではなく洪川郡ですが。
と思っていたら、春川の市内に九峰山があるのですね。
場所は「전북 진안군 주천면 운봉리」です。
この山、漢字では「九峰山」ではなく「九鳳山」と書くのですね。記事訂正しておきます。
我々も「頂上」までは行っていないのですが、井上様がこの山にチャレンジすると、もしかしたら翌日は歩き回れないかもしれませぬ。

No title

アキミツ様、こんにちは。
「九鳳山」ですか、全州市の近くですね。吊り橋の向うに見えるのが九鳳山頂上でしょうか。Daum地図では吊り橋が見付かりませんです。標高は1002mですが、登山口から吊り橋まではどのくらい登りましたか。所要時間も教えてくださいませ。次の全州釣行訪問時にチャレンジして見ようかな~。

Re: No title

> アキミツ様、こんにちは。
> 「九鳳山」ですか、全州市の近くですね。吊り橋の向うに見えるのが九鳳山頂上でしょうか。Daum地図では吊り橋が見付かりませんです。標高は1002mですが、登山口から吊り橋まではどのくらい登りましたか。所要時間も教えてくださいませ。次の全州釣行訪問時にチャレンジして見ようかな~。


当時のGPSログによりますと、登山口から吊り橋までは1時間ちょっとかかりまして、距離は約1.5km、登山口の標高は315mで、吊り橋の標高は740mくらいです。
我々は8峰まで行きまして、9峰(頂上)には行かずに下山しました。それで登山口に帰ってくるのにちょうど3時間かかっています。
韓国の登山にはNAVER地図が割と役立ちます。画像はDaumやGoogleで、「구봉산 구름다리」で検索していただければいろいろ出るかと思います。

No title

アキミツ様、こんにちは。
吊り橋は4峰と5峰の間に架かってるのですね。1.5㎞で400m登るのか・・・、今の内に機会を作って何んとか行って見たいです。有り難うございます。

プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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