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清明の龍宮ガサガサ

もう2週間ほど経ってしまったのだけれど、4月に入ってから「今回は行くぞー」と決意して、ちょっと遠出してガサガサしてきた。
行き先はこちら。

20110405101556.jpg
すごいでしょこの蛇行具合。春で川の水の流量が少ないから分かりにくいかと思うけど、夏場はこの砂地の部分がほとんど水で満たされるらしい。ちなみにこの場所は一番左上のところを上流としてこの写真のところでぐるっとS字型に蛇行している。写真に写っているのはS字の半分だけ。また右上に連なる山を越えたらすぐに川が走っている。

この場所の名前は、회룡포(フェーリョンポ 回龍浦)という。そしてこの회룡포があるところは、慶尚北道は醴泉(イェーチョン)郡の龍宮というところ。「ヨングン」と読むのだが日本風に「たつみや」と読んでしまっては面白味がなくなってしまうからここは「りゅうぐう」と読みたいところだ。浦島太郎に出てくる龍宮だな。あまり関係ないが韓国の魚好きの奴らは飼っていた魚が死ぬと「龍宮に行った」と言ったりする。

興味を持っていただけるなら地図を参照していただけると分かりやすいのだが、韓国の4大河川に낙동강(ナクトンガン 洛東江)という河川がある。釜山を河口として遡っていくと、その川は김해(キムヘ 金海)を囲うように西に折れ、남지(ナムジ 南旨)というところで남강(ナムガン 南江)と分岐しつつ韓半島を北上する。ちなみに旧日韓ちゃんぽんで書いていた함양(ハミャン 咸陽)とか산청(サンチョン 山清)などはこの남강のほうになる。
洛東江の北上は約110キロほど続くのだが、상주(サンジュ 尚州)市の北でバオバブの樹のようにいくつもの枝分かれを起こす。
今回行った所は、この洛東江の支流で、この枝分かれのところから程近いにある。

20110405100341.jpg
そこは広い広い砂の世界だった。

20110405082542.jpg
川底まで砂。このような浅いところと深いところがあったとしても見ているうちにどんどん砂底の形が変わっていく、そんなところだった。

なお、洛東江本流はこの枝分かれのところから東に向かって안동(アンドン 安東)を通り、ダムによるせき止湖である安東湖を経て山あいを北上し태백(テベク 太白)に至る。この記事の最初の写真で、「山を越えたらすぐに川が走っている」と書いたがそれが洛東江本流。


まあともかく、この回龍の浦に、わしがどうしても会いたかった魚と会ってきた。
 
 
我が家を深夜に出発して、日の出前に現地到着。
とりあえず橋の下にて網を入れてみた。これだけの砂地だからな。普通だと모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)が入るところだ。あとは왜매치(ウェーメーチ 和名チョウセンゼゼラ Abbottina springeri → Biwia springeri)とか돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)が期待できそうだ。川底をずっと眺めてみて、魚の姿が見えなかったので、生息数が少ないか모래무지が砂の中にもぐっていることを考え、砂ごと網に入れるようにして採集を行う事にした。


흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
うおおおしょっぱなからキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
今回の大本命、흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)様ですよ。絶滅危惧第1種ですよ。
いやもうホントこれに会いたかった。「大先輩と行って来たぜイムジン河」で変わり果てた姿のシラヒゲ様と出会ってから枯れてしまっていつ砂漠の使徒に狙われてもおかしくなかったわしのこころの花が輝きながら返り咲いた感じっすよ。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
続いてどんどん来るシラヒゲ様。といっても1回の網にせいぜい1匹。空振りも多いけど、2匹入るのは本当にごくたまにしかない。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
さらに来るシラヒゲ様。というか、シラヒゲ様しかとれねー。(^Д^;;)
他の魚はどこ行ったんだ?普通모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)くらいはいるだろうに。

밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)
流れがちょろちょろ音を立てていて、川底にかろうじて石のあるところでようやく밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)がとれた。韓国にいるA~CタイプのうちではAタイプになりそうだ。これってOIKAWAMARU様のところによると和名は今後「クロヨシノボリ」ということになるのだろうか。
あと同じところで쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)もとれたが写真は後ほど。

20110405082232.jpg
この採集場所は南側が山に面していて、落ち葉が堆積している上に常に影になっているところがあるのだが、そこでは미꾸리(ミックリ 和名ドジョウ Misgurnus anguillicaudatus)と피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)がとれた。

기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)
そして砂地でようやくシラヒゲ様ではない魚がとれた。기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)だな。


なんじゃあこの場所は。絶滅危惧1種の흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)がいるとは聞いていたけど、シラヒゲ様がここの優占種だというのか。これではまるでシラヒゲ天国ではないか。龍宮恐るべし。
もうちょっと時間をかけて調査したら、他の魚種も網にかかったかもしれないが、とにかく競合する魚がいない。なんで모래무지がいないの?と不思議に思うくらい。それと肉食魚もいない。ひたすら広くて長い砂底に、このシラヒゲ様は住まうのだろう。


砂の上を歩くのは通常よりも体力を消耗する。早瀬での採集は腕が疲れるが砂での採集は足が疲れるな。
というわけで撮影タイム。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)。ヒゲが生えているけどこの個体はおなかが大きいからメスなのだろう。大きさはヨシノボリ程度。韓国にはGobiobotiaが3種生息しているが、他の2種――꾸구리(ックグリ 和名ズナガドジョウカマツカ Gobiobotia macrocephala)、돌상어(トルサンオ 돌(石)沙魚 和名サメガシラ 鮫頭 Gobiobotia brevibarba)――と比べても、成魚として3割ほど小さいようだ。住んでいる場所も違う。シラヒゲ様は流れのある砂底であり、ほかの2種は石のごろごろする早瀬だ。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
上から見たところ。この横幅と目の位置関係がGobiobotiaの特徴のように見える。もちろん4対のヒゲもな。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
撮影用水槽にちょっといっぱい入れてみた。꾸구리のようにオスメスとで体色が変わってくるということはないみたい。
それにしても、いやぁかわいいのぉ…… (*´д`*)ハァハァ


흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
ところで、最初に出たシラヒゲ様の写真とこの写真とを比べてみていただきたい。注目する場所は目。最初のは瞳がまんまるだが、この写真では瞳がカマツカのような形となっている。흰수마자は、わしが勝手にネコメカマツカ(Cat's eye gobio)と命名した꾸구리ほどではないが、昼と夜とで瞳の形が変わるのだ。この話は師匠が以前していた。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)。洛東江・蟾津江水系のもの特有のエメラルドグリーンに光る帯が印象的だ。

밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)
밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)。

밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)
밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)。こちらは上のとはまた別な個体。

기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)
기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)。4本ある帯のうちの下から2番目の帯が、尾びれに近づくにつれて消えうせてしまっているが、これは個体差だろうか。

20110405093712.jpg
落ち葉の堆積していたところで採集された稚魚。区別しづらいが口先が赤く染まっているので피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)と思われる。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
シラヒゲ様いっぱい。この後放流。
観察して分かった事だが、シラヒゲ様は「ザクッと」砂の中に突入して顔の上側だけちょこんと出す。カマツカのように「ザザッ、ザザッ、ザザッと」入るという感じではなくて、それこそ一気に入って、一気に出る。そういう意味では砂の中への入りっぷりは참마자(チャムマジャ 和名ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris)に似ているかもしれない。

20110405094547.jpg
生簀にしていたタモ網を上げたら、網にこってりついていた奴ら。数十匹ついていた。どうやらこいつらがシラヒゲ様のエサとなっているようだ。




いやぁ堪能した堪能した。でもはるばる洛東江水系に来た訳だし、もう1箇所くらい行きたいよねぇ?
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tag : 洛東江水系 흰수마자

コメント

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No title

アキミツさま

シラヒゲカマツカ最高~~~~!
これだけいるなんてすごい場所ですね.
名前も竜宮なんてしゃれてるし,
良い物を見せていただきました.

No title

シラヒゲカマツカの画像に鼻血が出そうになりました。
すごい・・画像です・・。眼福でした。

学名R. brunneusという種の和名はクロヨシノボリとなりましたが、画像の個体は明らかに
R. brunneusではないので、トウヨシノボリと記されるのが現時点ではよろしいかと思います。
またトウヨシノボリと同種であれば、今のところは未記載種という扱いになりますので、
表記はRhinogoius sp.もしくは日本風にRhinogobius sp. ORになるかと。

No title

こんばんは
シラヒゲカマツカですか~凄いですね!このヒゲで停位している感じがいいですね。
でもすいません、私はヨシノボリに目がいってしまいました。トウヨシノボリのような感じの個体ですね。もちろん見たことがないタイプですが。
ちょうどオスとメスのようですね。素敵な画像ありがとうございます。

No title

こんばんは

シラヒゲカマツカかっこイイですね~
ヒゲで定位している感じがまたいいですね。
しかし私はヨシノボリに目がいってしまいました。トウヨシノボリに近い感じの個体ですね。
ちょっと見たことがないタイプで、とても参考になります。そしてちょうどオスメスのような感じでさらに嬉しいです。

Re: No title

らいあます様
コメント有難うございます。

このシラヒゲカマツカ、できればイムジン河で出会いたかったのですが、出会った姿が死体でしたので、それはもう心に引っかかっておりました。今回出会えて大満足です。
洛東江とその支流には、流れがありながらも砂底がずっと続く地帯があるのですが、そういうところにこのシラヒゲカマツカは生息するようです。漢江水系や錦江水系にも生息するようですが、生息地が極めて限られているようです。

Re: No title

おいかわ丸様
コメント有難うございます。

> 学名R. brunneusという種の和名はクロヨシノボリとなりましたが、画像の個体は明らかに
> R. brunneusではないので、トウヨシノボリと記されるのが現時点ではよろしいかと思います。
> またトウヨシノボリと同種であれば、今のところは未記載種という扱いになりますので、
> 表記はRhinogoius sp.もしくは日本風にRhinogobius sp. ORになるかと。

有難うございます。ひとまずトウヨシノボリの表記を続けていこうと思います。
韓国では3つのタイプが生息するという論文が発表されていますが、今のところタイプを区別せずにR. brunneusの学名を使っています。今後韓国でもこのヨシノボリがきっちり整理されていく事を望むばかりです。
これが整理された後で、ここ日韓ちゃんぽんで説明する和名を変更していきたいと思います。

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。

> シラヒゲカマツカかっこイイですね~
> ヒゲで定位している感じがまたいいですね。

稚魚を比べたらカマツカとよく似ているのですが、やはりヒゲの存在感は圧倒的ですね。

> しかし私はヨシノボリに目がいってしまいました。トウヨシノボリに近い感じの個体ですね。
> ちょっと見たことがないタイプで、とても参考になります。そしてちょうどオスメスのような感じでさらに嬉しいです。

さすがアヤヨシ様。自分はいまひとつ眼力がなくて、ヨシノボリの区別が難しいですが、これからも時々ヨシノボリの写真をアップしようと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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