南漢江中流域支流ガサガサ

休みの日に1時間少々遠出をしてきた。
行き先は南漢江。目的は一応、南漢江のドジョウカマツカ(Gobiobotia)属だった。一応な。
かつて、わしの家からもっとも近い南漢江水系のドジョウカマツカ属生息地は、여주(ヨジュ 驪州)郡は이포(イポ 梨浦)大橋付近の長さ100メートル以上にわたる早瀬だった。しかしそこは韓国政府による4大河川事業の工事が始められてしまった。とりあえずその工事の様子を行く事にして、そこから上流にあるどこかの支流に入り込んでみようかと思い立ったわけだ。……というかほぼ無計画だった。


梨浦(起工式直前)
ちなみにこちらが、4大河川事業の梨浦地区起工式が行われるほぼ直前のポイント。

梨浦(工事中)
こちらは今回見てきた工事中の様子。

そしてスマートフォンで衛星写真とにらめっこしながらたどり着いたのが여주군여주읍(ヨジュグン ヨジュウブ 驪州郡驪州邑)にある支流。여주の街の賑わっている所は南漢江の南岸のほうだが、わしが行ったのは北岸のほうの田園地帯。今回のガサガサに関係ないがここ여주には세종대왕릉(セジョンデェワンルン 世宗大王陵)がある。

20110523162424.jpg
採集を行った場所はこんなところ。水は濁り気味。
まぁ結局はドジョウカマツカ属には出会えなかった。でも同じ漢江水系ながらわしの近所では見られなかった魚たちに出会う事ができた。
 
 
さっそく写真を貼っていくよ。

줄몰개(ジュルモルゲェ 和名シマモロコ Gnathopogon strigatus)
最初にかかったのがこれ。えー何これ?色合いからしてバスの幼魚かと思った。でもよく見たら、これはシマモロコではないか!いきなりうちの近所にいない魚がとれた。で、採集用水槽に入れようとしたらぽろっと逃げられちゃった。もっともこれより大きい個体が後ほどとれたのでよしとしよう。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)だな。この季節は側線の金と黒が地図上の線路のごとく交互に入るラインがとっても鮮やか。

얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)
ボサを中心にガサガサをはじめたら、얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)がかかった。となりにいるのは눈동자개(ヌンドンジャゲェ 和名クロギギ Pseudobagrus koreanus)と思われる(詳しく同定しなかった)。

20110523145005.jpg
미꾸리(ミックリ 和名ドジョウ Misgurnus anguillicaudatus)に돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)。「川の個性」をまったく伝えてくれない代表種。どこにでもいるからな。

줄새우(ジュルセウ 和名スジエビ Palaemon paucidens)
줄새우(ジュルセウ 和名スジエビ Palaemon paucidens)を見るのもなんか久しぶりな気がする。でもこれも「川の個性」を伝えてくれるような種ではないね。

점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)
とかなんとか考えていたら、なんじゃこりゃぁ!?
え?もしかしてわし、国内移入種を捕まえてしまった?これって기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)じゃね?
……と思った。だが기름종개は漢江水系には生息しない事になっている。それじゃこれは一体何者?と考えたときに、ああそうか、これが점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)なんだ、という結論に至った。
わしが점줄종개にすぐにたどり着けなかった理由がある。それは、점줄종개は韓半島西側の黄海に面した側に広く分布すると言われているけれども、海に近い平野部に生息しているとばかり思っていたから。そのためか一度も採集経験が無かったから。この採集地点は、韓半島の西海岸と東海岸を結べばほぼ真ん中に位置する場所なので、こんなところで점줄종개に出会えるとは思っていなかったのだ。
というわけで、恥ずかしい話だが採集してから家に帰って図鑑を開くまで国内移入種を捕まえてしまったぜ(゚Д゚) ゴルァ!と思い込んでいたわし。

밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)
밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)のメス。抱卵しているがおなかは青くなっていない。おなかが青くならない種かも。

줄납자루(ジュルラプジャールー 和名チョウセンイチモンジタナゴ Acheilognathus yamatsutae)
줄납자루(ジュルラプジャールー 和名チョウセンイチモンジタナゴ Acheilognathus yamatsutae)の幼魚。去年生まれた個体だろう。

붕어(ブンオ 鮒魚 和名フナ Carassius auratus)
붕어(ブンオ 鮒魚 和名フナ Carassius auratus)。キンブナだろう。잉어(インオ 鯉魚 和名コイ Cyprinus carpio)と思われる個体2匹も目視で確認した。

참종개(チャムジョンゲェ 和名コウライシマドジョウ チョウセントゲドジョウ? Iksookimia koreensis)
참종개(チャムジョンゲェ 和名コウライシマドジョウ チョウセントゲドジョウ? Iksookimia koreensis)。漢江水系のドジョウといえばこれだろう。やっぱりさっきのはイレギュラーな存在だったんだよ、と採集しながら考えていたのだ。

점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)
そしたらまたとれちゃったよ。こりゃとれる分だけお持ち帰りしなければならないなと思い込んだ次第。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)の抱卵個体。あらまぁ奥様これまたずいぶん「お盛ん」ですこと。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
早瀬になっている部分で쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)がとれた。川はあんまりきれいじゃないのだけど、こういった場所があれば生息するのだなと思った次第。

버들치(ボドゥルチ 和名コウライタカハヤ Rhynchocypris oxycephalus)
だが버들치(ボドゥルチ 和名コウライタカハヤ Rhynchocypris oxycephalus)がとれてしまって、やっぱりここはなんじゃこりゃと思った次第。この魚は上流部の代表的な魚種だからな。もっとも汚染には強くて農業用水路からも採集されることもあるとの事。

밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)
背びれが輝く밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)のオスがとれた。

참마자(チャムマジャ 和名ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris)
참마자(チャムマジャ 和名ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris)。午後の回遊の時間なはずなのにわしの網にかかるとは、なんとまぬけなズナガニゴイか。普通午後4時頃なんてズナガニゴイは網にかからないよ。そんなにわしに会いたかったか。

줄몰개(ジュルモルゲェ 和名シマモロコ Gnathopogon strigatus)
大きな줄몰개(ジュルモルゲェ 和名シマモロコ Gnathopogon strigatus)がキター(゚∀゚)
本当に緑地にしましまだな。こいつは韓国に生息するほかのモロコ属とは属を異にすることになっているのだが、分子のほうからみた系統はどうなるのだろう?

모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)
かなり良い大きさの모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)をゲット。こりゃ食べたらおいしい大きさですぜ。

모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)
あらメスでしたか。卵が出てきちゃった。


早く帰らないと夕食に間に合わなくなるのでこの辺でおしまい。

家に帰って「なんじゃこりゃぁ」なドジョウをじっくり撮影してみる事にした。採集個体は全部で3匹。先ほど書いたとおり、図鑑を見て점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)と分かった次第。
점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)
점줄종개の体の模様は個体差や地域差がずいぶんあるようで、わしが図鑑で見て覚えていたのとは違うが점줄종개で間違いないようだ。
점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)
2匹並べてみた。こうしてみると、言われたとおり体高が高いなと思う。この高さは왕종개(ワンジョンゲェ 王條鰍 和名ナガシマドジョウ Iksookimia longicorpa)に匹敵する高さだなと思うが、体長が왕종개より短い分だけ体高比は점줄종개のほうが低い数値が出るのではないだろうか。

점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)
ちょっと上から。やはり縞模様に個体差がある。

점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)
実はおいかわ丸さんから「Cobitis lutheriが見たい」とリクエストを受けていたのだった。今回奇しくもこいつらが採集できたので、本命Gobiobotiaは出会えなかったけどまぁ良しとしよう。


밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)
背びれが輝く밀어(ミルオ 和名トウヨシノボリ Rhinogobius brunneus)のオスも、撮影&コウライオヤニラミ様の餌食用に持ち帰ってみたけれど、移動の途中でダンディズムをそがれる事件が発生していたのか、かなり色あせてしまっていた。アヤヨシさんに参考になるかなと思ったがこれでは今ひとつですな。これは韓国ヨシノボリのうちの典型的なAタイプ。尾びれの付け根あたりがオレンジ色。
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tag : 점줄종개

コメント

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おおー

こんにちは、おいかわ丸です。
Cobitis lutheriの写真を見せていただいてありがとうございます!
パッと見はスジシマ中型種博多型っぽいですが、よく見るとスジシマ九州型の模様の
特徴ももっているようです。これは模様で九州のと区別するのは難しいですね・・。

雄は繁殖期には完全なスジシマ模様になると思いますので、6月中旬~下旬頃
(水温が常時20度をこえるころ)に再度行かれると、全く別物みたいな模様になってる
はずですよ!ということで一ヶ月後?の繁殖期の雄の婚姻色バージョンもお願いします~

Re: おおー

おいかわ丸様
コメント有難うございます。

韓国のCobitisには、今回ご紹介した"점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri 黄海に面した韓半島西部に生息)"のほか、
 "줄종개(ジュルジョンゲェ 和名不明 Korean striped spine loach = コウライスジシマドジョウ? Cobitis tetralineata 蟾津江に生息)"
 "기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis 洛東江水系に生息)"
 "미호종개(ミホジョンゲェ 美湖條鰍 和名ミホシマドジョウ Iksookimia choii → Cobitis choii 天然記念物)"
なんてのがいますが、上の3種は本当に区別が難しいです。

ドジョウたちの産卵の季節は6月下旬頃ですね。その頃またチャレンジしてみましょう。
オスがどんな姿になっているか、とても楽しみです。

No title

こんばんは

ヨシノボリの画像ありがとうございます。
色あせたとは言え、婚姻色がしっかり出ていますね。顔も丸いですし、トウヨシらしいトウヨシですね。
少なくとも、私の見たことのある韓国産ヨシノボリとは違うような気がします。
ただ大きさの違いもあるので、はっきりとは言えませんが・・・。
また採集できたら、見せてくださいね。
ヨシノボリもそうですが、シマドジョウ類もシマモロコも現地でみたいですね~

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。

写真のヨシノボリはご指摘のとおりそれほど大きい個体ではありません。もっと大きくて真っ黒で立派な個体がいますので、そのときはまた写真に収めたいと思います。

> ヨシノボリもそうですが、シマドジョウ類もシマモロコも現地でみたいですね~

おかげさまで"シマモロコ"ではGoogle検索第1位です。って全然自慢になりませんね。

No title

アキミツさま

ドジョウカマツカぽいんと,だいぶん感じが変わりましたね.
胸が痛いです.

Re: No title

らいあます様
コメントをいただいていたのに気がつかなくて申し訳ございません。

自分も本当に胸が痛いので、つい遠征してしまいました。
次の記事をあげましたのでどうぞご覧ください。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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