秋夕の日に一人で何やってんだか蟾津江ガサガサ

2011年9月12日は陰暦で8月15日。韓国では추석(チュソク 秋夕)といって、要はお盆だ。このお盆休みの間、韓国では民族大移動が起こる。我が家も처갓집(チョガッチブ 家内の実家)に行くのに渋滞を避けて、日が昇らないうちに出発し日が昇ってから到着、というのを行きも帰りも行った。

秋夕では実家にてどんな事が行われたかを知りたいなら、最近は韓国に嫁いできた日本人婦人たちがいろんなところで다문화가정(ダムヌァガジョン 多文化家庭)ブログをつくっているから、そっちのほうが詳しいし面白い事が書いてあると思うので、わしのところはやっぱり魚とりを書かねばなと思うのである。


そんなわけで秋夕当日、タイトルにもあるとおり、섬진강(ソムジンガン 蟾津江)へ行ってきた。

秋夕当日は天気が悪かった。雲が多く、一時雨が降るとの予報も出ていた。実際、当日朝、家族全員で秋夕の제사(ジェーサ 祭事:テーブルに食事等を並べて御先祖様をお迎えする事)をしている時は雨が降っていた。ただこれはまだましなほうだ。台風14号が9月10日の午前中に済州島の南で熱帯低気圧に変わらなかったら、大雨で川へ行くどころか처갓집から無事帰ってこれたかどうかも分からぬところだ。

とりあえず「曇りだが、よく見ると雨が降っているのがわかる」天気の中をひとり出発。
今回の目的魚種は큰줄납자루(クンジュルラプジャールー 和名オオイチモンジタナゴ Acheilognathus majusculus)だった。こいつをゲットするのに自分が今まで行った中で一番確率の高かった場所に向かった。ところがだ。

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「上水源保護区域」「危険地域につき漁獲・釣り一切禁止」だとー!
前に来た時はこんなのなかったのに。特に上水源保護区域がやっかいだ。ここではガサガサできなくなってしまった。

仕方がないので場所を移動した。上水源保護区域の立て札が立っていないところを見定めながら上流へと移動して、着いた場所がここ。
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ちょうど雨がやんで、日差しがさすようになってきたところなので、ここでガサガサしてみることにした。
なかなか良さそうな場所ではあるのだけど……。

 
とりあえず浅瀬のところをよく見て、피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)などの稚魚の中にタナゴが混じっている事を確認。

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うむ、タナゴだ。各ひれが黄色いし、「ボテ」であることは間違いない。ただこの採集場所では、これが칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライポテ Acheilognathus koreensis → Tanakia koreensis)か、絶滅危惧種の임실납자루(イムシルラプジャールー 任実납자루 和名不明 Seomin bitterling = ソムジンボテ? Acheilognathus somjinensis → Tanakia somjinensis)かがはっきりしない。瞳孔の上下が黒くなっているから칼납자루なのではないかと思うのだけど……。

それにしてもこの場所、石がごつごつしていて足が「隙間」に入りにくい。おまけに石の表面は藻に覆われていてぬるぬるする。わしが歩くとそれが水中に放たれるせいか、いつもガサガサするときよりも下流にてわしを追いかけるように寄ってくる稚魚が多い。それでいてわしの網には魚が思ったようにかからない。
結構粘ったのだが、結局疲れてゲームオーバー。

とれたのはこんな魚たち。

참중고기(チャムジュンコギ 和名ミナミヒガイ Sarcocheilichthys variegatus wakiyae)
まずは今回一番ポイントが高い魚種として、참중고기(チャムジュンコギ 和名ミナミヒガイ Sarcocheilichthys variegatus wakiyae)。これがとれたってことは、自分で言うのもなんだがわしは相当がんばったと思うのだ。背びれの前から後ろのほうまで、黒く太いラインが入るのが섬진강産の참중고기の特色だ。

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続いて……やはり칼납자루か임실납자루か同定が難しいから「ボテ」という事にしておく。こいつは問題なくとれる。だがわしの今回の目的魚種は큰줄납자루なのだ。

왕종개(ワンジョンゲェ 王條鰍 和名ナガシマドジョウ Iksookimia longicorpa)
왕종개(ワンジョンゲェ 王條鰍 和名ナガシマドジョウ Iksookimia longicorpa)もとれる。참종개(チャムジョンゲェ 和名コウライシマドジョウ チョウセントゲドジョウ? Iksookimia koreensis)によく似ているが、簡単に区別できる点は왕종개には胸びれのすぐ後ろに大きな黒い点が入ることだ。

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「ボテ」のメス。黒い点々は寄生生物か。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)。漢江・錦江産の쉬리に対して、蟾津江・洛東江産の쉬리は一番輝くラインがエメラルドグリーン色だ。これは多分去年生まれた個体。

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もういっちょ「ボテ」。

긴몰개(ギンモルゲェ 和名ホソモロコ Squalidus gracilis majimae)
背びれの基点から側線のあるうろこまで3.5枚なので긴몰개(ギンモルゲェ 和名ホソモロコ Squalidus gracilis majimae)と思われる。こいつは橋げたの周りに多かった。

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またさらにボテ。임실납자루は칼납자루に対して体色において「緑色」成分がほとんどないという話を聞くが、時期的な問題や光の具合によってこのように飴色になってしまうと、임실なのか칼なのか本当に分かりにくくなってしまう。

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その他幼魚の数々。피라미の稚魚のほかに갈겨니(カルギョニ 和名カワムツ Zacco temminckii → Nipponocypris temminckii)の稚魚も見える。쉬리は今年生まれたと思われるが、家の近所の川でとれる個体に比べて成長が進んでいるような気がする。

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その他幼魚の数々その2。돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)なんかもとれているが、ここの川でとれる돌고기はただの돌고기だ。

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その他幼魚の数々その3。やはりタナゴの稚魚はみんなひれが黄色い「ボテ」ばかりだ。

結局目的魚種は一匹も採集できなかった。再戦を要求したいところだが今回はこれでおしまい。そして来年の春になるまで蟾津江での採集は機会がないと思われる。참마자(チャムマジャ 和名ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris)や모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)でも数匹とれていれば、장모님におかずをとってきたと喜んでもらえたかもしれないのに、今回はそれすらなし。
추석休みで家族や親戚たちと川にやってきて遊んでいる人たちを尻目に、わし一人出てきて目的の魚もとれず涙目。何やってんだか>わし。とほほ。



동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
おまけ。写真タイムに持ち込まなかった魚としては동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)。申し訳ないがドンコ・ギギ・アカザは他の魚が迷惑するからあまり写真タイムに持ち込みたくないのだ。

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もう一つおまけの水棲昆虫。キバがあって腕が長い。カワカゲロウ科の一種강하루살이(ガンハルサリ 和名不明 Rhoenanthus coreanus)というやつだろうか。おいかわ丸さんと一緒に見た虫と同じ種類かな?


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もういっちょおまけ。ヒラタドロムシ??

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tag : 蟾津江

コメント

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No title

こんにちは。
書き出しの「今回の目的魚種は큰줄납자루(クンジュルラプジャールー 和名オオイチモンジタナゴ Acheilognathus majusculus)だった。」に思わず座り直して、写真だけを3回通り捲って見ましたが、居ないじゃあ~りませんか。天気もよろしい様ですし、しかも蟾津江で!?큰줄납자루、どこに行ってしまったんでしょうか。とにかく御疲れ様でした。

Re: No title

井上様

ホントにもう申し訳ございません。今回はボテばっかりで自分も涙目ですよ。
今回は本当に時間がありませんでしたので、夜とか翌日とかのリターンマッチもできませんでしたし、天候もこちらの思惑とは裏腹に雨が降ったりやんだりで、運が味方をしてくれていないのを感じました。
上流ではなくて下流に行けばよかったのかなと、反省しきりです。
オオイチモンジタナゴが採集された場所の資料を見ますと、井上様とご一緒した場所よりもほとんど南のほうになってまして、蟾津江も洛東江水系ももしかしたらある程度の緯度から北になってしまうとオオイチモンジタナゴはいなくなってしまうのかも知れません。

No title

こんばんは
なんだかバーベキューしたら楽しそうな場所ですね。
こう言った場所だとやっぱりボテが多くなりますね。そして別種のヨシノボリがいたりして・・・。
本日のお魚ですと、ホソモロコに会いたいですね。

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。

> なんだかバーベキューしたら楽しそうな場所ですね。
> こう言った場所だとやっぱりボテが多くなりますね。そして別種のヨシノボリがいたりして・・・。

確かに夏にはバーベキューやらメウンタンやらやりそうな場所でした。
自分がよく行く川のうち、こういった雰囲気で浅瀬の石をめくるとチョウセンイチモンジタナゴが現れる場所がありまして、深いところもあるし流れの穏やかなところもあるので、この辺どうだろうかとあたってみたのですが、ボテばかりでした。
そういえば、ヨシノボリがとれなかったような。

> 本日のお魚ですと、ホソモロコに会いたいですね。

ホソモロコは結構いろんなところで普通に出現していますが、ホソモロコを探しに出かけると出てきてくれないという……。

No title

ナガシマドジョウかっこいいですね。。
写真だとI. koreensisより円筒形に見えますが、
実物の体型はそんなに変わらないのでしょうか?

Re: No title

おいかわ丸様
コメント有難うございます。

> 写真だとI. koreensisより円筒形に見えますが、
> 実物の体型はそんなに変わらないのでしょうか?

体の断面図をとれば、そんなに変わらない気がします。ただI.koreensisに比べて、体長に対する体高がある気がします。
円筒形といえば、ヨコジマドジョウがとっても円筒形ですね。

No title

ご教示ありがとうございます。
実際はそれほど変わらないのですね。
というかヨコジマドジョウもかっこよさそうですね。。

Re: No title

おいかわ丸様

> というかヨコジマドジョウもかっこよさそうですね。。

ヨコジマドジョウはかっこいいですね。韓国の淡水魚の中ではもっとも観賞魚として通用する魚と言えるのではないでしょうか。
ああ、また洛東江水系に行ってヨコジマドジョウをお持ち帰りしたい……。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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