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秋夕前日の蟾津江

毎年行っているのだが、今年の추석(チュソク 秋夕 韓国の旧盆)も우리 집사람の実家に行ってきた。
韓国は秋夕の日とその前後1日の合計3日間が休日になる。今年の秋夕は水曜日。だから火曜から木曜までが休みになるのだけど、会社によっては追加で月曜を休みにしたり金曜を休みにしたりして、週休2日制の会社なんかは前の修の土曜日から合わせて9連休なんてことになっていた。わしの事務所はそんなの全然ないけどな。

で、秋夕前日の早朝というか未明に出発して、いつもより1時間半オーバーで到着。毎度毎度名節の民族大移動はどうにかならないかなぁと思う。
우리 집사람の実家では、時間があれば農作業を手伝ったりするのだけど、今回は秋夕前日の午後から秋夕一日中雨が降ることが予報されていたので、農作業がなしになった。秋夕の料理は우리 집사람やその妹や장모님(家内の母)や家内の兄嫁やら、女性の手がたくさんあるし、송편(ソンピョン 松餅)なんかは子供たちがわいわいやりながら作っている。わしだけヒマ。そんなわけで午前中は民族大移動の渋滞の疲れを癒し、午後まだ雨が降りそうになかったので、ちょっと川に行ってきた。

場所は섬진강(ソムジンガン 蟾津江)。家内の実家から車で10分行けば금강(クムガン 錦江)にも行けるのだけど、いやぁやっぱりここは蟾津江でしょう。衛星写真を見ていて、ちょっと面白そうな場所を見つけたのでそこに行ってみることにした。「行ってきました南方ガサガサ 蟾津江(ソムジンガン)編その1」とか「久しぶりに師匠と会ってガサガサ その2」のポイントよりも上流。まぁ車で15分ほどさらに行けばその場所にいけるのだけどな。

20100921143419.jpg
採集地の様子。蟾津江は画面奥から右側のほうへと流れている。そこに支流が左側のほうから流れ込んでいる。もうちょっと行ったところでは別の支流が流れ込んだりしているし、この場所はこの場所で、早瀬あり、葦の茂みあり、ワンドあり、浅瀬あり、深みありと、一日回っても回りきれないくらいポイントがたくさんある……ように衛星写真では見えたのだが、行ってみると実際その通りだった。ただし、ずっと続いた雨の影響もあって明らかに増水しており、早瀬も1年中ある早瀬なのか増水のために臨時でできている早瀬なのかを見極めるのはちょっと難しかった。

さっそく網を入れてかかったのがこれ。
돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
……最初は왜매치(ウェーメーチ 和名チョウセンゼゼラ Abbottina springeri)かと思った。돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)にしては大物過ぎる。それに胸びれに黒い斑点が出ている(わしの良く見る돌마자は胸びれにほとんど黒い斑点がない)。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
次に目に付いたのが、オレンジ色の唇。돌마자や왜매치も多少オレンジ色になるけれど、なんか唇がでかくね?

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
と思って魚をひっくり返してみた。やっぱでかいよ。

これってもしかして、絶滅危惧1種の모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)では?
でも本当に모래주사だったら、鼻と目との間がだいぶ長いはず。これは短いと思う。모래주사の特徴は、鼻と目との間がカマツカほどではないけれどもかなり長くなっていること(「ズナガ」と言ったら分かりやすいだろうか)、その分唇が長く厚くなっていること等。

ここで모래주사がとれる!?


 
 
そう思っていろんなところをガサガサしてみた。

돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)
돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)。このくらいの未成魚がいろいろな場所でとれた。

참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンムツ? Nipponocypris koreanus)
これは갈겨니(カルギョニ 和名カワムツ Nipponocypris temminckii)かと思ったのだけど、背びれから側線までの鱗の数を数えると참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンムツ? Nipponocypris koreanus)だ。こいつらもいろんなところでとれたが、みんな참갈겨니のようだった。

얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)
葦原の下では얼룩동사리(オルルクドンサリ 和名セマダラドンコ Odontobutis interrupta)が出てきた。よくいるというかなんというか。

왕종개(ワンジョンゲェ 王종개 和名ナガシマドジョウ Iksookimia longicorpa)
왕종개(ワンジョンゲェ 王종개 和名ナガシマドジョウ Iksookimia longicorpa)。今回はこれの本当にキングサイズと呼べるものもとれたのだけど、生簀の網のほつれているところを拡大して逃げてしまった。

긴몰개(ギンモルゲェ 和名ホソモロコ Squalidus gracilis majimae)
긴몰개(ギンモルゲェ 和名ホソモロコ Squalidus gracilis majimae)。ただの몰개(モルゲェ)よりもなぜかいろんなところでよく出会う。韓国ではこちらのほうが生息個体数が多いのかな?

칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライポテ Acheilognathus koreensis)
칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライポテ Acheilognathus koreensis)。今回こちらのブログに移って和名をかえたもののひとつ。ちなみに英名はOily Bitterlingだって。日帝時代に日本のアブラボテと同一種とされたことをそのままひきずっているのだろう。

참붕어(チャムブンオ 和名モツゴ Pseudorasbora parva)
참붕어(チャムブンオ 和名モツゴ Pseudorasbora parva)。こいつが出てくると、たとえ流れのあるところでとれたとしても、付近に流れの全くないところがあるのだろうと想像してしまう。

줄종개(ジュルジョンゲェ 和名不明 コウライスジシマドジョウ? Cobitis tetralineata)
줄종개(ジュルジョンゲェ 和名不明 コウライスジシマドジョウ? Cobitis tetralineata)。この줄종개は蟾津江水系の固有種であって、他の川には生息していないのだ。

칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライポテ Acheilognathus koreensis)
もういっちょ칼납자루。これは個体数が非常に多い。

동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)。얼룩동사리と微妙に住み分けをしているようだ。わしの家の前の川では얼룩동사리しか見たことがないから、2種類ともにいるというのはちょっと新鮮。

20100921161921.jpg
모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)と미꾸리(ミックリ 和名ドジョウ Misgurnus anguillicaudatus)。川岸の泥底にて採集。やっぱりカマツカがとれないと寂しいね。


ここまでやったところで空が一気に暗くなったので、撮影タイムに切り替えた。

칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライポテ Acheilognathus koreensis)
칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライポテ Acheilognathus koreensis)のオス。婚姻色の時期と言うわけではないが、それでもこれだけ発色している。

칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライポテ Acheilognathus koreensis)
今度は칼납자루(カルラプジャールー 和名コウライポテ Acheilognathus koreensis)のメス。オスにはオスらしい貫禄があるけれど、メスのほうもこれはこれで成熟すると貫禄があるね。

임실납자루(イムシルラプジャールー 任実납자루 和名不明 Seomin bitterling = ソムジンボテ? Acheilognathus somjinensis)
임실납자루(イムシルラプジャールー 任実납자루 和名不明 Seomin bitterling = ソムジンボテ? Acheilognathus somjinensis)。칼납자루と比べてもやはりやさしい色合い。


さて、大きな岩の上で並んでのんびりしていた돌마자を網にかけてみたのだけど……。

20100921181345.jpg
ええと、見るところは참갈겨니ではなくその下の돌마자たちな。
この写真には3匹写っているが、そのうちの一番左に写っている個体、なんか目から鼻までの距離が他の個体よりも「ズナガ」になっているような!


20100921181408.jpg
下から見た図。左の個体が「ズナガ」になっているような!!

そこでこの写真を師匠に見せてみた。最初は「60%くらいの確率で모래주사」とおっしゃっていたが、拡大写真を見て「やっぱり돌마자」だそうだ。師匠の解説によると、この程度の変異は「ありうる範囲内」だそうで、모래주사は「はっきりと長い」そうだ。それと口の周りの肉質突起が돌마자と比べて「小さいのがたくさんある」のだそうだ。残念。

ついでに、最初にとれた個体も왜매치ではなくて돌마자との同定をいただいた。胸びれにこんなに黒い斑点が出ているけど、蟾津江の돌마자はこのくらい出る個体がいるそうだ。残念~!!


撮影タイムが終わると同時にどしゃ降りが本格的に降ってきたので大慌てで撤収。
正直言うと큰줄납자루(クンジュルラプジャールー 和名オオイチモンジタナゴ Acheilognathus majusculus)にも会いたかったのだけど、こちらはまるっきしの空振りで残念。この魚に出会うためには師匠のポイントに行かなきゃだめかなぁ。
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tag : 蟾津江

コメント

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No title

こんばんは

ナガシマドジョウにスジシマ系ドジョウ
ウ~ンたまりません。どちらも採集したい!!
そしてホソモロコも気になります。似ているけど違うと言う感じが興味を惹かれます。

アブラボテ系が2種類、同所にいるという感覚もなんだか不思議です。

ヨシノボリはいませんでしたか?

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。
このときのガサガサでは、ナガシマドジョウを10匹くらい採集したのですが、みんな生簀の穴から逃げ出してしまいました。줄종개(ジュルジョンゲェ)は逃げませんでしたので、持ち帰って今我が家の水槽でのんびりやってます。

この줄종개(ジュルジョンゲェ)と임실납자루(イムシルラプジャールー)は蟾津江水系にのみ生息するのです。

ヨシノボリはAタイプと言って虎縞などの模様があまり入らないものが早瀬で採集できました。とってもおしゃれなオスがとれていたら写真に残していたと思いますが、残念ながらおしゃれなオスには出会えませんでした。

No title

ムナイタは興味アリですね。
いずれ別種になったりするのでは???

実は日本のカマツカが3種に分かれそうですよ。

今年の魚類学会でその話があり、ミトコンドリアDNA と形態から

1.西日本に広く分布するsp.1
2.本州中西部の太平洋側に分布するsp. 2
3.東日本に広く分布するsp.3

がいるらしく、sp. 1 とsp. 2 は分布が重なっているそうです。

sp.2 とsp.3 は体側の斑紋パターンなどに違いがあるらしいのですが、その特徴は重複するらしく、すごく似ているそうです。けれども遺伝的に離れていて、分布域が明らかに違うので両者は別種だそうです。

その両種とsp.1は形態に違いがあり、両種はsp.1と比較して吻長が短く,口唇長と口鬚長が長いそうです。また腹鰭と肛門がやや後ろ側に位置し,肛門~臀鰭起点間の鱗が少ない傾向もあるらしいです。

さらに、sp. 1が 朝鮮半島付近の集団と近縁らしですが、sp.1と朝鮮半島の集団が別種になるかはよくわかりませんでした。

簡単な見分け方は、ヒゲを体に沿わせて伸ばしたときに、眼のどのあたりに先端が来るからしいのですが、すみませんm(_ _)m 忘れてしまいました。

こういう話を聞くと、ムナイタカマツカも複数の種に分けられる可能性があるのではないでしょうか・・・

No title

アキミツさま

カマツカの追伸です。
韓国のカマツカは先にも書いたように日本のsp.1(普通はGroup1と表記するようですが)と遺伝的に近いらしいですが、種のレベルで離れているようで、別種になるみたいですね。
ただ、形態比較をきっちりしないと新種とはならないでしょうが・・・

Re: No title

ライアマス様
コメントありがとうございます。

実は自分もカマツカ亜科大好きでしてv-218
日本では分子レベルでの研究成果が出てきているのですね。
韓半島に住むカマツカは別種ですか。学名も変更・定着したら、日韓ちゃんぽんでは韓国のカマツカは和名「コウライカマツカ?」とでもしましょうかね。
師匠にもお知らせしたいので、もしよろしければその論文のタイトルとかを教えていただけないでしょうか?

ムナイタカマツカですが、自分が蟾津江の「婚姻色で真っ黒になったムナイタカマツカ」を「カムトルマジャ(「黒ムナイタカマツカ」の意)」と書いたら師匠大笑いしていました。師匠もムナイタカマツカは地方によって種が分かれるだろうと話しているのですが、このカマツカの論文でムナイタカマツカについてもライアマス様の指摘通り、近いうちに種が分かれる方向に行くかもしれませんね。

No title

アキミツさま

カマツカはまだ学会発表の段階で、いずれ論文が発表されたらお知らせしますね。

ネットで検索するとミトコンドリアのみのデータはIchthyological Research(日本魚類学会の英文誌)に出ていたようで、タイトルは
Tominaga K, Watanabe K, Kakioka R, Mori S, Jeon S-R (2009)
Two highly divergent mitochondrial DNA lineages within Pseudogobio esocinus populations in central Honshu, Japan
Ichthyological Research 56:195-199

それについての内容が、http://ecol.zool.kyoto-u.ac.jp/~tominaga/paper01.html
に日本語で出ていました。

韓国の研究者も参加されていますし、韓国産カマツカは日本産が記載されたときに同時に別種にされるかもしれません。

Re: No title

ホームページ拝見しました。この系統図は興味深いですね。
韓国のカマツカがチュウゴクカマツカに近縁であるという結果がミトコンドリアからも解析できたというのは地理的にも頷けます。このような研究が韓国のカマツカについても行われたら、一部地域だけ日本のカマツカに非常に近いものがいたりとか、さらに面白いことが分かるかもしれませんね。
ご紹介いただいたページ以外のページも拝見したのですが、実に好感の持てる文章を書いていらっしゃる。いやぁお友達になりたいなぁ。^^;; 専門家と趣味でやってる者とでは釣り合わないことがわかっているのですけどね。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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