韓国の魚について日韓ちゃんぽん的あれこれ

最近、日本ではメダカ北日本集団が新種記載されたそうで、Oryzias latipesがメダカ南日本集団のみをさすものとなってくるとなると、日韓ちゃんぽんとしてはメダカ東韓集団をどうしたものかなぁと思っていたところ、簡潔にまとめてくださった方がいらっしゃった。そうか東韓集団はsp.ということになるのか。

韓国のヨシノボリ(밀어 ミルオ)についても、韓国ではRhinogobius brunneusで通ってしまっていて、韓国でこいつをsp.という事にしましょうという論文が出てこないというかわしの力では見つからない。こちらでおっしゃっているまさにその通りの現象がおきている状況。
でもって、日韓ちゃんぽんとしてはRhinogobius brunneusは日本では和名がクロヨシノボリ。日本のクロヨシノボリと밀어は比較しても形態学的に異なるものとなるし、「トウヨシノボリ」の名前は日帝時代に밀어についての和名としても通用したのだけれど、Rhinogobius kurodaiとして整理された今となっては「通用しませんぞ」と判を押されたような状況だろう。ということで、밀어に関しては学名も和名も使えなくなっちゃった。やれやれどうしたらいいものか。

そんな訳で、ここを改定したいのだけれどどうしたものか悩んでいる状況であります。

日韓の専門家の方々が連携してこの辺を整理して、新種記載や学名変更とかしてくださると有難いのだけどなぁ。


改定といえば、韓国の環境部が絶滅危機野生動植物を221種から245種に増やす内容の野生動植物保護法施行規則改正案を今年1月30日に立法予告したようだ。
この中で魚類に関係するのはこんな感じ。



●絶滅危惧1種に指定されるもの

감돌고기(カムトルコギ 和名クロムギツク Pseudopungtungia nigra)
꼬치동자개(ッコチドンジャゲェ 和名ウサギギギ Pseudobagrus brevicorpus)
남방동사리(ナンバンドンサリ 南方동사리 和名ドンコ Odontobutis obscura) 新規追加
미호종개(ミホジョンゲェ 美湖條鰍 和名ミホシマドジョウ Iksookimia choii → Cobitis choii)
얼룩새코미꾸리(オルルクセコミックリ 和名ナクトンガンハナジロドジョウ? シラヒゲドジョウ? Koreocobitis naktongensis)
여울마자(ヨウルマジャ 和名不明 Microphysogobio rapidus) 新規追加
임실납자루(イムシルラプジャールー 任実납자루 和名不明 Seomin bitterling = ソムジンボテ? Acheilognathus somjinensis → Tanakia somjinensis) 絶滅危惧2種から格上げ
퉁사리(トゥンサリ 和名ニクアカザ Liobagrus obesus)
흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)

●絶滅危惧2種に指定されるもの

가는돌고기(カヌントルコギ 和名ホソムギツク Pseudopungtungia tenuicorpa)
가시고기(ガシゴギ 和名トミヨ 富魚 Pungitius sinensis sinensis)
꺽저기(ッコクジョギ 和名オヤニラミ Coreoperca kawamebari) 新規追加
꾸구리(ックグリ 和名ズナガドジョウカマツカ Gobiobotia macrocephala)
다묵장어(タモクジャンオ 多目長魚 和名スナヤツメ 砂八目 Lampetra reissneri)
돌상어(トルサンオ 돌(石)沙魚 和名サメガシラ 鮫頭 Gobiobotia brevibarba)
모래주사(モレジュサ 和名コブクロカマツカ Microphysogobio koreensis)
묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer → Tanakia signifer)
백조어(ベクジョーオ 白條魚 和名ツマリカワヒラ Culter brevicauda)
버들가지(ボドゥルガジ 和名セボシハヤ Rhynchocypris semotilus) 新規追加
부안종개(ブアンジョンゲェ 扶安條鰍 和名プアンシマドジョウ Iksookimia pumilus) 新規追加
열목어(ヨルモゴ 熱目魚 和名コクチマス ヨルメギ Brachymystax lenok tsinlingensis) 新規追加
좀수수치(ジョムスースーチ 和名不明 Dwarf loach = ドワーフローチ? Kichulchoia brevifasciata) 新規追加
칠성장어(チルソンジャンオ 七星長魚 和名カワヤツメ Lampetra japonica)
한강납줄개(ハンガンナプジュルゲェ 漢江납줄개 和名ニセヨーロッパタナゴ Rhodeus pseudosericeus) 新規追加
한둑중개(ハンドゥクジュンゲェ 和名カンキョウカジカ 咸鏡鰍 Cottus hangiongensis)


●絶滅危惧種からはずされるもの

둑중개(ドゥクジュンゲェ 和名キビレカジカ 黄鰭鰍 Cottus koreanus)
둑중개(ドゥクジュンゲェ 和名キビレカジカ 黄鰭鰍 Cottus koreanus)

잔가시고기(ジャンガシゴギ 和名ミナミトミヨ 南富魚 Pungitius kaibarae)
잔가시고기(ジャンガシゴギ 和名ミナミトミヨ 南富魚 Pungitius kaibarae)
このミナミトミヨというのも今回の問題にひっかかりそう。


これがいつから施行されるのかはっきり調べがついていないのだけど、これが施行されれば、カジカとトゲウオを合法的に飼育する道が開かれる反面、今飼っている한강납줄개をどうしようかなぁなんていう思いもある。
他の魚については、섬진강(ソムジンガン 蟾津江)に何度か行ってみて、これこそ임실납자루だとわかるタナゴが本当に少ない、というか師匠がいなければ正しく同定できないくらいで。だから임실납자루が2種から1種に格上げというのは嬉しいところだ。
여울마자はなんとか施行前にじっくり観察したいなぁ。まずは出会うほうが先か。
열목어は韓国のフライフィッシャーたちが怒号をあげるだろうなぁ。韓国だから反対運動まで起きるかもしれないな。열목어は天然記念物だというイメージが強くて、実際にそう信じている人が多いのだけど、天然記念物は生息地の一部であって、魚種そのものは天然記念物でも絶滅危惧種でもない、というあたりがマニアックだったのに。
あと、日本のドンコとかオヤニラミが韓国で絶滅危惧種に入ったというのも興味深い。まぁ日韓関係で一方では普通種だけどもう一方では絶滅危惧種というのは魚に限らず割とよくある話。実際韓国ではカンキョウカジカが絶滅危惧2種、タマムシが天然記念物&絶滅危惧2種になっており、日本では왜몰개(ウェーモルゲェ 和名ヒナモロコ Aphyocypris chinensis)や국수뱅어(グクスベンオ 국수白魚 和名アリアケシラウオ Salanx ariakensis)が絶滅危惧IA類、チョウセンケナガニイニイが絶滅危惧II類になっている。



늦털매미(ヌットルメェミ 和名チョウセンケナガニイニイ Suisha coreana)
ちなみに去年撮った늦털매미(ヌットルメェミ 和名チョウセンケナガニイニイ Suisha coreana)。ツクツクボウシも鳴かなくなるような秋に鳴き出すセミ。昼の最高気温17度とかでも平気で鳴いている。
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コメント

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No title

絶滅危惧種ランクの変更があったとは知りませんでした。
魚が生き残るのであれば何でも良いのですが、日本みたいに
指定したけど生息地は破壊、とかにならないことを祈っています。

ヨシノボリについては最新情報を踏まえて、このブログでは
Rhinogobius sp. ヨシノボリ属の一種
で統一してはどうでしょうか。アキミツさんのスタンスを
きっかけに韓国でヨシノボリ熱が高まって、新発見が
相次ぐかもしれませんよ!?

チョウセンケナガニイニイ、イイですね。

Re: No title

おいかわ丸様
コメント有難うございます。返事が遅くなりまして申し訳ございません。

> 絶滅危惧種ランクの変更があったとは知りませんでした。
> 魚が生き残るのであれば何でも良いのですが、日本みたいに
> 指定したけど生息地は破壊、とかにならないことを祈っています。

これは示唆深い内容ですね。まったく同感です。
でも韓国では、「4大河川事業」によって各4大河川水系の本流において、絶滅危惧種の生息地がすでに一部破壊されており、また4大河川事業に便乗して行われている「支流の河川保守工事」で、やはり絶滅危惧種の生息域が危機に瀕しておりますです。おかげで自分の大好きなGobiobotiaたちが大打撃を受けておりますですよ。


> ヨシノボリについては最新情報を踏まえて、このブログでは
> Rhinogobius sp. ヨシノボリ属の一種
> で統一してはどうでしょうか。アキミツさんのスタンスを
> きっかけに韓国でヨシノボリ熱が高まって、新発見が
> 相次ぐかもしれませんよ!?

そうですね。それではこの方向で手直しをしてみようと思います。

No title

知らないうちに、北のメダカが新種記載されていたんですね。

たくさん新記載されていますね。記載するのも良いですが、なぜ記載しなければならなくなったのかが重要ですよね。
この辺りの考えが日本ではほんとに酷いですからね。

絶滅危惧種からはずされるって事もあるんですね。

韓国産ヨシノボリの事がもっと解るようになれば私もうれしいですね。
期待しています!

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。

> たくさん新記載されていますね。記載するのも良いですが、なぜ記載しなければならなくなったのかが重要ですよね。
> この辺りの考えが日本ではほんとに酷いですからね。

これはつまり、人為的な原因で個体数が少なくなっているということですね。
なぜ記載しなければならなくなったのか……残念な思いはどこの国にも共通だと思いますが、日本はそれでもちゃんと分類され、研究され、調査されていますからまだ良いと思います。分類も研究も調査もされていない種が絶滅の危機に瀕しており、また人知れず絶滅しているかも、ということが世界各地で起こっているのでしょうね。


> 韓国産ヨシノボリの事がもっと解るようになれば私もうれしいですね。
> 期待しています!

韓国産ヨシノボリに関しては、以前にも書きましたが今のところ3つのタイプがあると発表があり、참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)についてもタイプが発表されていますので、それまで含めて改定をするかどうか、ちょっと迷っているところです。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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