またもや本命ははずしたが楽しかった洪川江支流深夜ガサガサ

今年2012年、日韓ちゃんぽんとしては二つの目標を持って取り組んでいる。
ひとつは、『カマツカ亜科、特にコブクロカマツカ属の魚を完全制覇する』ということ。
もうひとつは、『ここに行けばいつでも미유기(ミユギ 和名コウライヤナギナマズ Silurus microdorsalis)と出会える、というポイントを見つける』こと。
このうちの一つ目は、遠出をしないと実現不可能だ。漢江水系には生息しない魚が含まれるからな。でも、二つ目なら、ちょっとがんばれば行ける所を当たればそのうち見つかるのではないかと思う。

そんな訳で先日、例によって仕事が遅くなった帰りにガサガサしてきた。
場所は홍천(ホンチョン 洪川)。川は홍천강(ホンチョンガン 洪川江)の支流。この場所を選んだ理由は、「go.kr」がつくサイトに미유기がこの辺にいますと表示されていたから。

行ってみた場所は真っ暗。民家はあるが、月が出ていなければ本当に暗闇に閉ざされるような場所だった。かろうじて街路灯が点いている近くに車を止め、その街路灯の明かりすら見えない上流側へと川を進んだ。

実は、わしが勝手に思っている미유기の生息地、というかいろんな場所に行って미유기がとれたところを総合すると、以下のようになる。

1) 夜明かりがないところ。あっても光は遠きにあって場所を移動しない。
2) 砂底でも泥底でもなく石底
3) 富栄養化の藻が付着しておらず、水棲昆虫の付着している石。
4) 上流側すぐのところに滝つぼや堰があり、その直下は深くなっている。

そしてその上流側にはそれほど高くない堰があり、堰の下は一部コンクリートで固められていたが、藻の付着していない小石が川底にある部分と、抽水植物が生えている泥底の部分とがあった。

堰の下へ近づくまでにまず一投。

20120413232646.jpg
うーむ、カエルはともかくとして、2枚貝だ。2枚貝がとれてしまった。
今思えば、この時点で「この辺では미유기はとれない」とあきらめていればよかったのかもしれない。でもわしは先に進んでしまった。

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あ、なんぞかっちょええ水棲昆虫が。なんとなく仮面ライダーBlackみたい。こんなに黒いのって、ほとんど見た事がないけど。

동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)だ。ほほう北漢江の水系なのに동사리とは。清平ダムの上流と下流とでこいつの生息が決まってきているのかなぁ。

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タナゴだ。タナゴがとれてしまったぞ。タナゴの住む領域に미유기って、やっぱり無理なんじゃないか?
いや待て待て。こいつ、今ひとつ色が薄いけど、背びれが黒とオレンジじゃね?
これがもし묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer → Tanakia signifer)であるならば、미유기の生息に可能性はある。しかし他の魚種ならば미유기の生息は絶望的ではないだろうか。
そう思って同定を試みるが……うーむよくわからん。

20120413234146.jpg
またタナゴだ。こいつも今ひとつ分かりにくい。でも色合いが……すごく、ボテっぽいよ。

꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)
堰に近づくに従って、早瀬の様相が現れてくる。すると網にかかるのが꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)。やはり君らがここら辺の肉食魚の頂点かい。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
そして早瀬といえば쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)。君は期待をはずさないねぇ。しかもここでとれる쉬리は結構キンキラキンだぞ。わしが昔見た最高にゴールデンな쉬리には及ばないけどな。

돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)
そして돌고기(トルコギ 和名ムギツク Pungtungia herzi)。すまんのう君は「はずれ」扱いなのだよ。どこにでもいるから、川の特徴を知らしめる魚としては役に立たんのだ。
ああ、もちろん피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)や참갈겨니(チャムカルギョニ 和名不明 カワムツの新種 チョウセンカワムツ? Zacco koreanus → Nipponocypris koreanus)も網にかかるけど、これらも「はずれ」扱いのため網にかかったら即リリース。すまんのう。

それで、いくら「らしい」ところをガサガサしても一向に미유기が現れる気配がない。そこで今回はダメだとあきらめて、堰の上へと行ってみる事にした。

堰の上はどうせ泥底か砂底なのだろうと思ったら、やはりそうだった。だが、ここはちょっと面白い地形になっていて、軽くカーブする内径側の岸はその間際まで植物が生えており、外径側の岸は岩場というより絶壁に近かった。当然外径側の底は深いので内径側の岸近くを伝って歩くのだが、こちら側も深いところが。よく見るとその岩場のところには「深いため遊泳禁止」の横断幕が。

20120414002150.jpg
あまりお目にかかったことのない巻貝。

긴몰개(ギンモルゲェ 和名ホソモロコ Squalidus gracilis majimae)
긴몰개(ギンモルゲェ 和名ホソモロコ Squalidus gracilis majimae)が돌고기と同じくらいに多い。だがしかし、ここの優占種は돌고기や긴몰개ではなかった。

묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer → Tanakia signifer)
やばい。묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer → Tanakia signifer)のメスがやたら網にかかる。この時期、オスは自分のテリトリーがあったり貝を守ってたりして、夜もなかなか網にかからないのだけれど、メスは結構フリーで、夜はみんな岸近くに集まって寝ているから、夜ガサガサでは網にかかりやすいのよ。

묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer → Tanakia signifer)
そうこうしているうちにオスまでキター。
ここはまるで묵납자루天国ではないか。돌고기と긴몰개という外道がいるけれど。

묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer → Tanakia signifer)
もうね、1回網を入れるたびに最小限こんな感じで入ってくるのよ묵납자루が。
いやいや堪能した。

모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)
そしてまた、貝がいる砂底だからな。모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)がいる。

누치(ヌーチー 和名コウライニゴイ Hemibarbus labeo)
なんぞ砂をかぶって寝ている奴がいるなぁと思って網に入れてみた。참마자(チャムマジャ 和名ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris)だと思ったら누치(ヌーチー 和名コウライニゴイ Hemibarbus labeo)だった。こいつがこの場所の頂点に立つ者かと、ちょっと遊んでリリースしてやったら、その場でまた砂をかぶって寝出した。

묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer → Tanakia signifer)
最後に一番渋い色をしていたオスを撮影。フラッシュを焚いたら黒味が強くなってしまった。実際は深くて渋いエメラルド色なんだけど。

묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer → Tanakia signifer)
それで別個体だがあえてフラッシュを焚かずに、ライト光源でがんばって撮ってみた。これはほぼ見た目どおりの色が出ている。こいつでもこのくらいエメラルド色。
ちなみにこいつ、5枚上にいる写真の個体と同一個体。5枚上の写真と何故これだけ色が異なっているかというと、タナゴって、種類によって寝ぼけているときの体色と活動しているときの体色との差が激しいものがいる。5枚上の写真は完全に寝ぼけている状態での写真であって、フラッシュを焚いて撮影をしているけれども見た目でもだいたいこんな色をしている。これを大先輩の井上さんが「ナイトガウン」と呼んだ。実に良いネーミングセンスだと思う。
それでもって、採集水槽の中に入れられて揺らされてすっかり目が覚めたらこの写真の色になるという訳。ただしこの体色は、目が覚めてはいるものの恐怖を感じているときの体色であって、オスとして最高に興奮しているときの色というのはだいたいこういう感じ
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コメント

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お世話になりました。

アキミツ様、こんにちは。

先日はお世話になりました。韓国の田舎は本当に好いですねぇ。
いい空気を吸って、(見た事も聞いた事も無い)美味い料理で一杯いただける。
そして、アキミツさんの名人技(Fantastic Nite Show)を拝見、(身勝手な)アンコール拍手も数回させて頂いて、ボロ宿で明日の釣果を夢見る。
当日は早朝から川沿いの草叢に座り込んで山川草木に溶け込み(もうとするが、存在感が在り過ぎて無理無理)、一日中珍しい貴重なタナゴらと戯れる。有り難い。アキミツさんのお蔭です。

この度は홍천ですね。高速道路が走ってますので、雪岳インターからは40分ぐらいでしょうか。
Daum地図で見ましたら、홍천강は清平湖を介して(私のホーム ポイントの)미원천とも繋がってました。
流石に묵납자루の宝庫でございます。お疲れ様でございました。

文末の「こういう感じ。」でリンクする묵납자루のペア写真は、それこそ미원천の엄소리ですね。確か2009年でしたか・・・・、懐かしいです。

No title

アキミツ様

たいへん、ご無沙汰です。
井上さん命名の「ナイトガウン」は私もどんぴしゃのネーミングだと思いますね。

最近、日本のシマドジョウ、スジシマドジョウが一気に細分化されました。
私にはもう何が何やらという感じです・・・(笑)

No title

アブラボテとひとくくりにできない味わい深い色ですね。
カゲロウはこちらにもいるオオマダラカゲロウなどに近縁の種でしょうけど、
種類まではわからないですね。

らいあますさま>
いえ、細分化は前から様々な研究者によりすでになされていまして、
今回それを整理しただけというか。。
このうちいくつかについては順次学名もつけていきますので、投げっぱなし
にならないようがんばっているところです。

Re: お世話になりました。

井上様
コメント有難うございます。

井上様がこのような熱い書き込みをされますと、今回のガサガサに井上様と一緒に行ったような気がしてきますが、これは井上様がお忍びで訪韓される前に行ったものなのですよね。
時間があったらこの場所を一緒に見に行く事もできたのですが……食事と、近所の川に30分ほど行ってみるだけに終わってしまって残念です。それでも、短い時間ではありましたが楽しいひと時を過ごさせていただきまして有難うございました。


> 文末の「こういう感じ。」でリンクする묵납자루のペア写真は、それこそ미원천の엄소리ですね。確か2009年でしたか・・・・、懐かしいです。

あのときの묵납자루の体色は、本当に神がかっていました。素晴らしいとしか言いようのない色合いでしたね。

Re: No title

ライアマス様
コメント有難うございます。

> たいへん、ご無沙汰です。

最近お忙しそうですね。お体ご自愛くださいませ。

> 井上さん命名の「ナイトガウン」は私もどんぴしゃのネーミングだと思いますね。

地球の動物(人間以外)はオスがおしゃれするのですよね。
ピンク色に輝く体色は、これはこれで肉眼で見ますと本当に綺麗ですよ。


> 最近、日本のシマドジョウ、スジシマドジョウが一気に細分化されました。
> 私にはもう何が何やらという感じです・・・(笑)

これはおいかわ丸様の仕業ですか(嘘)
韓国のドジョウも2000年以降細分化されましたが、日本のシマドジョウ、スジシマドジョウの研究は、本当に研究者の皆様の愛情と熱意と日本人特有の職人気質を感じざるを得ませんです。

Re: No title

おいかわ丸様
コメント有難うございます。

> アブラボテとひとくくりにできない味わい深い色ですね。

Signiferは本当にいい色ですよ。今度是非見にいらしてくださいな。なんちゃって。


> カゲロウはこちらにもいるオオマダラカゲロウなどに近縁の種でしょうけど、
> 種類まではわからないですね。

今度同じ種と思われる個体が採集できたら、もうちょっと写真を撮ってみようと思います。


> このうちいくつかについては順次学名もつけていきますので、投げっぱなし
> にならないようがんばっているところです。

実はこれにちょっと期待しています。
それと、日韓のCobitisのどれがどのように近縁なのか、研究が進めばよいなと思いますです。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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