イムジン河を越えて更にその北をガサガサ 撮影タイム

前回の続き。

撮影タイムの前に、まずわしが川に行ったときの段取りを説明すると、水が緩やかに流れ、岸近くでもそこそこ深さのある場所をベースキャンプとして選び、そこにタモ網を置いて固定し、これを生簀としている。
前回もちょっとふれたことだが、臨津江とその支流は増水するととんでもなく水位が上がる。要するに水位の上下の激しいところと言えるわけだが、それは増水に限った事ではない。

で、撮影タイムを始める際に、生簀にしているタモ網の中で魚たちが密集しすぎてアップアップしているのに気がついた。わしが魚をとりすぎた訳ではない。要するにタモ網が仕掛けてあった場所の水位が下がっていたのだ。
そして、いきなり撮影タイムの後の話になって申し訳ないのだが、撤収して帰る際に、わしが川岸からベースキャンプに行くまでに渡った流れ、しかもそこで魚までとれていた場所が干上がってしまっているのを見た。

20120604165655.jpg
いやはや、すごいところだな臨津江の近くというところは。ここって3メートル以上の川幅があったところなのだけど、5時間半で流れが干上がってしまうのか。河口から70Km以上さかのぼったところだから海の潮の満ち引きの影響を受けているとは思えないし。


気を取り直して撮影タイム。
今回のメインは、Gobiobotia3兄弟だ!!
 

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
まずは前座から。早瀬の定番、쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)。体のラインに青が強く、南の洛東江・蟾津江水系のほうの쉬리に似た色合いだが、各ひれの黒い斑点の並びをみるとやはり漢江・錦江水系のものだなと思う。

꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)
꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)。漢江水系の꺽지は体にスポット(白い点々)が出るのが特徴なのだけど、同じ漢江水系でも臨津江水系の꺽지は尾部にスポットがよく出て、腹部はあまりスポットがきれいに出ない気がする。統計取った訳ではないけれど、経験上なんとなくそう思う。

민물검정망둑(ミンムルコムジョンマンドゥク 和名ヌマチチブ Tridentiger brevispinis Katsuyama)
민물검정망둑(ミンムルコムジョンマンドゥク 和名ヌマチチブ Tridentiger brevispinis Katsuyama)で合っていると思う。韓国には검정망둑(コムジョンマンドゥク 和名チチブ Tridentiger obscurus)もいるのだ。

밀어(ミルオ 和名不明 ヨシノボリの一種 Rhinogobius SP.)
밀어(ミルオ 和名不明 ヨシノボリの一種 Rhinogobius SP.)。愛情のない写真で申し訳ない。ひとえにオスの第1背びれ・第2背びれが輝いているやつ、というだけでこの写真を選んでみた。

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대륙종개(デェーリュクジョンゲェ 大陸條鰍 和名不明 continental stone loach = タイリクフクドジョウ? Orthrias nudus)だと思う。わしの家の前の川で普段目にする模様とは違うなぁと思うのだけど。

줄몰개(ジュルモルゲェ 和名シマモロコ Gnathopogon strigatus)
前座第2弾。줄몰개(ジュルモルゲェ 和名シマモロコ Gnathopogon strigatus)。タモロコによく似てるよね。でも韓国にはタモロコは生息しない事になっている。

줄몰개(ジュルモルゲェ 和名シマモロコ Gnathopogon strigatus)
줄몰개3匹。韓国では産卵時期とかよくわかっていない(nfrdi.re.kr)ってことになっているけど、タモロコと同じような性質ならば水草に産卵するのだろうね。だとしたら水草のところで採集できたのは納得が行く。

점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)
점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)。はっきり申し上げて、ここでこいつがとれるとは思わなかった。韓国では「中国やシベリア、日本にも分布する(nfrdi.re.kr)」ということになっているけどどうしたものか。

점줄종개(ジョムジュルジョンゲェ 和名不明 Luther spine loach = ルーサーシマドジョウ? Cobitis lutheri)
オスを激写。美しい個体だがスジシマ模様にはなっていないということは産卵期ではないということか。Cobitisの美しさとしても줄종개(ジュルジョンゲェ 和名不明 Korean striped spine loach = コウライスジシマドジョウ? Cobitis tetralineata)には敵わないな。

꾸구리(ックグリ 和名ズナガドジョウカマツカ Gobiobotia macrocephala)
さぁてここよりメインゲストの方々が登場だ。今回のメインゲストはGobiobotia。ドジョウカマツカ属と呼ばれる魚たちだ。
まずは꾸구리(ックグリ 和名ズナガドジョウカマツカ Gobiobotia macrocephala)。いつ見ても猫目が素晴らしいのでわしは「ネコメカマツカ(ΦωΦ)」と勝手に呼んでいる。こいつ本当に観賞魚にならないかなぁ。

돌상어(トルサンオ 돌(石)沙魚 和名サメガシラ 鮫頭 Gobiobotia brevibarba)
続いて早瀬を高速で駆け巡る돌상어(トルサンオ 돌(石)沙魚 和名サメガシラ 鮫頭 Gobiobotia brevibarba)。胸びれの反り返り具合が実にこの魚らしい。

돌상어(トルサンオ 돌(石)沙魚 和名サメガシラ 鮫頭 Gobiobotia brevibarba)
돌상어をもういっちょ。産卵期の発色の特徴なのだろうか、側線付近に現れた丸い光沢の美しいこと。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
そして、Gobiobotiaの中でも今回一番のゲストはこちら。흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)。わしは敬意をこめて勝手に「シラヒゲ様」と呼んでいる。学名のとおり、この魚の生息地のほとんどが洛東江水系だが、臨津江とその近辺にわずかだが生息する事は知られていた。わしも臨津江でかつて出会った事があるが、それは꺽지の腹の中から吐き出された死体だった。そんな訳で臨津江水系のシラヒゲ様をまじまじと拝見するのは今回が初めてだ。

Gobiobotia
韓国に生息するGobiobotiaはこの3種。そして3種が揃ったら是非やってみたかったことがこれ。ドジョウカマツカ3兄弟が勢ぞろいだ。うはーテンション上がる上がる。3兄弟どれも甲乙付け難いが、カメラのピントはやはりシラヒゲ様に合わせてしまうなぁ。

Gobiobotia
ちなみに写真に撮ったこの3匹は、どれも昨年生まれたと思われる個体。大きさとしてもやはり돌상어が一番大きく、シラヒゲ様が一番小さくなるわけだな。
それにしても、Gobiobotiaが3種全部いるというのはすごい。本当にすごい!!

Gobiobotia
4対×3=24本のおヒゲ(*´д`*)ハァハァ
いやぁ、これも一度やってみたかった。手持ちなので写真としては今ひとつだが、わが脳みそにしっかりと焼き付けた。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
今回のMicrophysogobio。普通に돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)。

20120604164039.jpg
Microphysogobioに見えるものを集めてみたら、右側の真ん中のだけ배가사리(ベガサリ 和名ホタテコブクロカマツカ Microphysogobio longidorsalis)じゃないかな。

모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)
모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)のちびっ子達。こいつらも昨年生まれた個体と思われる。うーん、やっぱりみんなカマツカだなぁ。

모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)
上から見ても、背びれとか尻びれから後ろがやたら長いやつがいないなぁ。1匹ぐらいいるんじゃないかなと思ったんだけどなぁ。

今年、バイパスができたおかげで我が家から臨津江方面に行くのに時間が今までより15分ほど短縮された。これを機に臨津江方面へ採集に行く機会が増えるかもしれない。本当に臨津江というところは、安全さえしっかり確保できればすごく魅力的な川なのだ。
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tag : Gobiobotia

コメント

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No title

こんばんは

川の水量変化がハンパじゃないですね。
どういう構造になっているんですかね。
上流での水量の調整が、すぐに下流に伝わっているんですかね。

シマモロコ、とってもタモロコ似ですね。
こういう種類は、ぜひ本物をみたいですね。
来年なんとか実現したい!

ネコメカマツカは、立派な観賞魚ですよ。
養殖個体のみ正規に輸出とか出来たらいいですけどね。
なかなか難しいなぁ~。

底物たくさんで、本当に楽しい場所ですね。
シラヒゲ様も、ルーサーもかっこいい!
4月に取り逃がしたGobiobotia cheniを、次回は必ず写真に!
採集欲が出てきます。

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。

> 川の水量変化がハンパじゃないですね。
> どういう構造になっているんですかね。
> 上流での水量の調整が、すぐに下流に伝わっているんですかね。

こういった研究って、河川工学?土木の分野に入るのでしょうか。
Google Mapで見てみますと、DMZに堰というか軍事的に川からの侵入を防ぐ施設というか、何ともいえないものが見えますし、北朝鮮側にはダムなのかよく分からないものがあったり、この川の本流となるのかどうかは分かりませんが山あいに貯水池が見えます。そういったところで水量調整がされているのかどうかは、情報を得る事自体難しいですね。もっとも情報を得たからといって我々のような者がなにかできるわけでもありませんし。


> シラヒゲ様も、ルーサーもかっこいい!
> 4月に取り逃がしたGobiobotia cheniを、次回は必ず写真に!
> 採集欲が出てきます。

自分も陳氏ドジョウカマツカは見てみたいです~。

No title

アキミツ様

ご無沙汰しております.去年の韓国ツアーからもうすぐ1年ですね.未だに,つい最近のことのように鮮明に思い出します.カマツカ亜科の男前ぞろいを見て思わずコメントしました.Gobiobotiaが3種そろい踏みとはすばらしい場所ですね!!シラヒゲ様,かっこよすぎる….GobiobotiaやMicrophysogobioのように,そのニッチを極めている同属の魚が同じ地点で何種類も共存できるという,韓国の川の懐の深さを感じます.と,同時に極めたニッチをさらに分割している魚たちも興味深いです.

今年の夏はいろいろとやることがあり動けなさそうですが,また機会がありましたらご一緒させてくださいね.よだれものの写真を拝ませていただきありがとうございました.

Re: No title

Tommy様
コメント有難うございます。
お二人が来韓されてから11ヶ月。これからまたあの夏がやってこようとしておりますです。


> ご無沙汰しております.去年の韓国ツアーからもうすぐ1年ですね.未だに,つい最近のことのように鮮明に思い出します.カマツカ亜科の男前ぞろいを見て思わずコメントしました.Gobiobotiaが3種そろい踏みとはすばらしい場所ですね!!シラヒゲ様,かっこよすぎる….GobiobotiaやMicrophysogobioのように,そのニッチを極めている同属の魚が同じ地点で何種類も共存できるという,韓国の川の懐の深さを感じます.と,同時に極めたニッチをさらに分割している魚たちも興味深いです.

臨津江というところは生物多様性の宝庫と言える場所でして、信じられる数字かどうかは分かりませんが臨津江全体で76種の魚種が生息しているというデータがあります。この中にGobiobotiaが3種全部入っているわけですが、それでもある特定の狭い「場所」にGobiobotia3種が全部いる、というのは本当に希少なようです。


> 今年の夏はいろいろとやることがあり動けなさそうですが,また機会がありましたらご一緒させてくださいね.よだれものの写真を拝ませていただきありがとうございました.

正直申し上げると、もしここで大本命である「두우쟁이(トゥウジェンイ 和名トカゲカマツカ Saurogobio dabryi)」が採集できたら、Tommy様が絶叫して喜んでくださるに違いないと思っていたのです。今回は採集できなくて残念。さらに精進したいと思います。
それと、Tommy様とは韓国カマツカ&ハナジロドジョウのリベンジを実現したいといまだに思っておりますので、「ちょっとヒマもできたし、韓国に行ってもいいよ」という際はぜひお声をおかけくださいね。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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