尚州は柿の名産地でガサガサ

「魚をとりに行きませんか?」と言われた。
そう言ったのは、ソウル在住の知り合い。一応日本人。
「観賞用の川魚がほしいんだけど。」

まぁ、そりゃわしは普通の人に比べたら頻繁に魚とりに出かけているけど。
「で、どんな魚をご所望で?」
「미유기(ミユギ 和名コウライヤナギナマズ Silurus microdorsalis)と、수수미꾸리(ススミックリ 和名ヨコジマドジョウ Niwaella multifasciata → Kichulchoia multifasciata)」

さて、わしは頭を抱えた。
미유기天国と呼べるくらいに미유기がとれるところをわしは知らない。近場の渓谷をいろいろ探索してはいるものの、미유기が5番目以内の優占種となっているような場所はいまだに出会っていない。
それと、수수미꾸리。観賞魚としてのドジョウで世界にも知られているのをかぎつけたのだろうか。수수미꾸리といえば낙동강(ナクトンガン 洛東江)水系。慶尚道に行かねばならぬのか。でも、洛東江水系であれば、とりあえず手ごろな早瀬があれば大量採集は無理だとしても採集は可能だろう。
でも、さくっと行って미유기と수수미꾸리をとって帰ってくるだなんて、どこに行けばそんなことができるのだろうか。
頭を抱えて、仕方がないので師匠に連絡をした。師匠は今、大邱の隣の市に住んでいて、以前より増して会いに行きづらくなっていたので、文章のやり取りをした。助けを請うの○○くんに「しょうがないなぁ」と言いつつひみつ道具を出すドラ○○んのように、師匠は「상주(サンジュ 尚州)がいいよ」と教えてくれた。

상주かぁ。確かに상주なら、家内の実家に行くよりも近いしな。という訳で、師匠からもうちょっと具体的な場所を聞いて、상주は이안천(イアンチョン 梨安川)に行く事となった。
日程は日曜・月曜の1泊2日。といっても2日間フルにやるのではなくて、日曜日は休みといっても午前中はお互いにやることがあるので、午後に出発することとして、その夜は宿泊&採集、月曜日の昼に現地出発して戻ってくるというスケジュールを組む事になった。
ところが出発の前日、相手のほうから連絡あり。「子供を連れて行ってもいいですか」「えっ!?」「子供の通う小学校が土曜日に運動会をやって、月曜日が振り替えで休みになった。」なんてこったい。それで今回は、わしの車を使うのではなく、相手方の車に乗って出かける事となったのだった。

日曜日の1時半にソウル到着。そこで荷物を移し変えたりなんだかんだやって結局午後3時出発。高速道路を降りたら午後6時になってしまっていた。今回の宿泊場所となるモーテルは、高速道路を降りてちょっとだけ行ったところにあったが、まずはその先のメイン採集場所となるところを目指した。そこで場所の確認と、통발(トンバル いわゆるお魚キラー)を設置。行く途中で何箇所か良さげな場所があったので、そこにも통발を仕掛けつつモーテルに行きチェックイン。翌日にメイン採集場所に行く途中で통발を回収しようと言う魂胆だ。미유기狙いなのだから、このくらいはしないとな。
場所が盆地であり、日没からいくらも経たないというのに民家や街路灯がほとんどないおかげであたりは真っ暗。上を見ると満天の星。これには夜でも明るくて「光害」激しい(わしの住むところからソウルのある南西方向は夜中中太陽が沈みきらないかのように明るいのだ)ソウル在住の相手方とその子供たちは、その星の明るさに感動していた。
そしてまた、わしら大人二人は、この暗さなら미유기がとれそうだとも思った。미유기はナマズらしからぬ渓谷にすむ魚と言うイメージが強いが、師匠の話を聞くとそんな岩のごつごつした沢でなくても미유기はいるようなのだ。

で、モーテルにチェックインしたら午後8時を回っていた。さすがに腹が減ったので、食事をしようと思って町のほうまで出たら、食堂やってねえ~(;_;) もうみんな閉店してる。仕方ないので町外れの기사식당(ギサシクタン 技士食堂 バスやトラックの運転手を相手に安めの食事を提供する食堂。朝早く夜遅くまで開いてるとか、24時間営業をしていたりする)にて食事をし、편의점(ピョヌィジョム 便宜店 要するにコンビニのこと)ならぬ슈퍼(シューポー スーパーマーケットのことだが、個人経営でやっている雑貨屋のようなもの。朝早くから夜遅くまでやってる、いわゆるコンビニというスタイルが確立する前世代の薄暗いコンビニ)でパンやらお菓子やらを買い込んだ。24時間眠らない街ソウル在住の相手方とその子供たちは相当カルチャーショックを受けたようだったが、よく考えたらわしの住むところもコンビニができたのは割と最近の事で、7年位前はこの町と同じような状況だったなぁと思った。

そうしてモーテルに戻り、子供たちを寝かしつけた後、わしはモーテルのそばを流れる이안천へ深夜ガサガサ出動。メイン採集場所もモーテルのそばも同じ이안천で、しかもモーテルのそばのほうがずっと上流だったりする。

さて、最初にとれた魚がこちら。
동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)。

동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
またもや동사리。さっきのは今年生まれた個体だったけど、これは去年生まれた個体だろうか。
結論から書くと、ここは동사리天国だった。トータルしても1回の網に1匹は入っている状況。Zacco系よりも多いのではないかと思うくらい。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
他の魚がかかったと思ったら、쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)だった。良い感じだ。미유기がいるところには쉬리もいるし、수수미꾸리がいるところにも쉬리がいる。この調子で今回の目標魚種がゲットできれば、と思った。

20121015003908.jpg
砂底になると、相変わらず동사리がとれるものの、他の魚も混じってくる。긴몰개(ギンモルゲェ 和名ホソモロコ Squalidus gracilis majimae)とか。

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
それと、돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)。

기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)
기름종개(キルムジョンゲェ 和名正式名称なし Nakdong spine loach = ナクドンシマドジョウ? Cobitis hankugensis)も砂底にいる。だが今回は砂底狙いではなくて、早瀬狙いなのだ。

수수미꾸리(ススミックリ 和名ヨコジマドジョウ Niwaella multifasciata → Kichulchoia multifasciata)
というわけで今回の目標魚種のひとつである수수미꾸리(ススミックリ 和名ヨコジマドジョウ Niwaella multifasciata → Kichulchoia multifasciata)がようやく来た。この横縞は個体ごとに異なり、ひとつとして同じものがないと言う。でもって、胴体輪切りのごとく背中側と腹側とで縞がしっかり一致している個体は観賞魚として非常に高い価値を持つのだろうね。

だいたいの魚相が掴めたので、早瀬や堰の下をガンガン攻める事にした。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
うほっ。でかい쉬리。これは見事だな。

자가사리(ジャガサリ 和名ミナミアカザ Liobagrus mediadiposalis)
そして、いよいよ미유기が来たか!? と思ったら、자가사리(ジャガサリ 和名ミナミアカザ Liobagrus mediadiposalis)だった。ちぇっ。アカザといえば体色が黄褐色だが、ここの자가사리の幼魚は青黒味がかかっていて미유기と間違えやすい。

버들치(ボドゥルチ 和名コウライタカハヤ Rhynchocypris oxycephalus)
버들치(ボドゥルチ 和名コウライタカハヤ Rhynchocypris oxycephalus)。渓谷に住むこいつらが網にかかると言う事は、미유기が来てもいいんだけどなぁ。

자가사리(ジャガサリ 和名ミナミアカザ Liobagrus mediadiposalis)
結局石の下から자가사리は出てくるものの、미유기が全然出てこなかった。残念。
後で地図を見たら、1.2キロメートルにわたってガサガサをやってた。それなのに、수수미꾸리もせいぜい5匹と言ったところ。思ったより少なくて残念。


동사리(ドンサリ 和名コウライドンコ Odontobutis platycephala)
ところで、かつて師匠と蟾津江にてガサガサした際に、동사리には「赤い個体」が現れることがあるというのを聞いたことがある。동사리は周囲の環境に合わせて体色を変える能力を持っているが、3つの太い横縞の間に赤みが消えない個体が出ると言うのだ。
例えばこの写真の上の個体。こんな동사리を今回は何匹も見た。よく見ると一番最初の写真の個体もそうかもしれない。正確に数えてはいないが、50匹に1匹くらいの割合で赤い個体がいたように思う。とれた동사리を全部回収していれば良かったかなぁ。あまりにも多くてみんなリリースしていたけど、リリースしなければ300匹は確実にとっていたと思う。

20121015073601.jpg
採集地の写真。このあたりには柿の木畑とブドウ畑があった。採集中になんか酒臭いなと思っていたら、朝になってブドウ畑の存在を確認した次第。


続く。
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tag : 洛東江水系

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No title

こんばんは

翌日の下見お疲れ様です。
最後の写真で思ったのですが、とても寒そうですね。
韓国はすでに冬でしょうか?

Re: No title

アヤヨシ様
コメント有難うございます。

> 翌日の下見お疲れ様です。
> 最後の写真で思ったのですが、とても寒そうですね。
> 韓国はすでに冬でしょうか?

この採集を行ったときは、夜間でも手袋なしでやっていける程度でしたが、
今はもう手袋がないと水が冷たくてやっていけませんね。
韓国は日本と比べて春と秋が短いです。
いや、むしろ日本は四季が本当にはっきりしていて、それは世界的にも恵まれた事なのだなと思うようになりました。
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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