大先輩と行って来たぜイムジン河

大先輩とご近所タナゴ釣り」で約束したとおり、今回も井上さんとの紀行ですぞ。

大先輩とご近所タナゴ釣り」を読んでいただければ分かるが、この記事は二部構成となっていて、前半がタナゴ釣り、後半が夜ガサガサの記事である。今回の紀行はその間に行ってきた。どこに行ってきたかと言うとタイトル通り임진강(イムジンガン 臨津江)。ここしばらくは雨が降らず安定していたし、当日は晴れだったし、出かけるにはもってこいのコンディションだった。

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ちょっと前の写真でごめんなさい。当日の現場の風景写真を撮り忘れてた。

ここは岸が非常に浅く、その浅い岸の石と石の間に납자루(ナプジャールー 和名ヤリタナゴ Acheilognathus lanceolatus)や줄납자루(ジュルラプジャールー 和名チョウセンイチモンジタナゴ Acheilognathus yamatsutae)、묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer)といった、水の流れのあるところに住むタナゴがいる。また、本流とは別にワンドができていて、そちらには각시붕어(カクシブンオ 和名ウエキゼニタナゴ Rhodeus uyekii → Rhodeus sinensis)、떡납줄갱이(ットクナプジュルゲンイ 和名カラゼニタナゴ Rhodeus notatus)、납지리(ナプジーリー 和名カネヒラ Acheilognathus rhombeus)といったタナゴがいる。ここはいろんな種類のタナゴが一箇所で楽しめる場所なのだ。前回の한강납줄개(ハンガンナプジュルゲェ 漢江납줄개 和名ニセヨーロッパタナゴ Rhodeus pseudosericeus)はほぼ絶望的だけどな。そんな場所なのでぜひとも井上さんにタナゴ釣りを楽しんでいただこうと、わしのほうから誘った。わしとしても、ここは非常に多彩な魚種の住むところなので、いろいろな魚種をとって井上さんにお見せしたい思いもあった。


結果は……実はわしにとってあまりにも衝撃的なことが起こったので、本来なら井上さんの釣られたタナゴたちをいっぱい写真に収めるべきだったにも拘らず、それも忘れてあたふたしてしまったのだ。ああ井上さんには申し訳なくもありかたじけなくもあり、ひらにひらに頭を下げるしかない結果となってしまった。

 
 
それではいってみよう。

꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)
꺽지(ッコクジ 和名コウライオヤニラミ コクチ Coreoperca herzi)。早瀬近辺で手ごろな石をひっくり返せば出てくる出てくる。漢江水系の꺽지だけあってスポットが見事だ。でも同じ漢江水系でも臨津江水系と北漢江水系の違いがあるのか、スポットの出方がなんとなくわしの近所の川とで違う気がする。

돌상어(トルサンオ 돌(石)沙魚 和名サメガシラ 鮫頭 Gobiobotia brevibarba)
돌상어(トルサンオ ?(石)沙魚 和名サメガシラ 鮫頭 Gobiobotia brevibarba)。わしがプロフィール画像に選ぶくらい大好きなGobiobotia(ドジョウカマツカ)属の魚。ちなみに韓国にはGobiobotia属の魚種は全部で3種類生息していて、そのすべてが絶滅危惧種に指定されている。この돌상어は絶滅危惧2種だ。

꾸구리(ックグリ 和名ズナガドジョウカマツカ Gobiobotia macrocephala)
꾸구리(ックグリ 和名ズナガドジョウカマツカ Gobiobotia macrocephala)。ってどうしてネコメって和名にしてくれなかったんだろう森為三先生!この魚種の英名は決まっていないらしいので、ぜひとも「Cat's eye fish」という英名が付いて欲しい。この魚もGobiobotia属、絶滅危惧2種だ。

뱀장어(ペムジャンオ 뱀(蛇)長魚 和名ニホンウナギ 日本鰻 Anguilla japonica)
うはぁ3万ウォンGetだぜ~!!
뱀장어(ペムジャンオ ?(蛇)長魚 和名ニホンウナギ 日本鰻 Anguilla japonica)ですよ。天然ウナギですよ。
「うまそう」って名前をつけて飼い込んでエサをしこたま食わせて大きくなったら蒲焼にして食すしかない!と真っ先に考えたのは言うまでもない。ww
この場所って、地図上でなんとなく調べてみたら河口から100キロくらい遡ったところなのだけど、よく住んでいるものだなと思う。

쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)
韓国の早瀬といえば쉬리(シュイリ 和名ヤガタムギツク シュリ Coreoleuciscus splendidus)。やっぱりこいつが出てこなくっちゃね。
쉬리は韓半島の川なら韓国でも北朝鮮でも割と広く分布している魚なのだけど、映画「シュリ」では「南北を自由に行き来できる自由と統一の象徴」なんて解説がつけられているな。そういう意味では、ここイムジン河の쉬리はリアルで南北を自由に行き来できるんだぜ!

돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)
돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)。昨年12月に師匠から돌마자と배가사리(ベガサリ 和名ホタテコブクロカマツカ Microphysogobio longidorsalis)について、わしの同定の目のレベル不足を指摘されたので、ちょっと自信がないのだけど、돌마자で合っていると思う。ライアマスさんの指摘どおり、婚姻色の出る時期に全国のこいつを調べて回ったら、本当に種群の傾向が出てくるかもしれない。

모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)
모래무지(モレムジ 和名カマツカ Pseudogobio esocinus)。大きくなってもこのように側線が輝いている。わしの経験では、韓国の모래무지は幼魚の頃は側線が輝くものがあるが、成魚ではあまり印象にない。

새코미꾸리(セコミックリ 和名ハナジロドジョウ Koreocobitis rotundicaudata)
새코미꾸리(セコミックリ 和名ハナジロドジョウ Koreocobitis rotundicaudata)。早瀬の石と石との間にすむドジョウ。このドジョウを日本のドジョウマニアが見ると渋過ぎて目が釘付けになるらしい。黒ぶちの体色の地の色が状態によってピンク色になったり深緑になったりする。オレンジ色の部分(目の輪郭とかヒゲとかヒレとかな)も状態によって白に近い色から蛍光オレンジと言えるくらいド派手になったりするのだ。

묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer)
묵납자루(ムンナプジャールー 和名チョウセンボテ Acheilognathus signifer)。これも渋い魚なのだけど、写真の個体はあまりシブさが感じられなくて申し訳ない。流れのある川の、カボチャ大の石と石との間にできる砂地に住む二枚貝に卵を産むらしい。絶滅危惧2種。

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イムジン河のほとりの自然と一体化している井上さん。この下には참붕어(チャムブンオ 和名モツゴ Pseudorasbora parva)と각시붕어(カクシブンオ 和名ウエキゼニタナゴ Rhodeus uyekii → Rhodeus sinensis)の幼魚がわんさかいるのだ。実際わしが網を入れてみたところ、1回で両方合わせて80匹くらい入った。




さて、ここからがわしのがっかりの始まり。



実は生簀にタモ網を使っているのだけど、そのタモ網からまさに脱出寸前の「わしの3万ウォン」が目に入った。これはいかんと思い、お持ち帰り用水槽に隔離しておかねばならないと思って、いったんそいつの脱出を阻み、お持ち帰り用水槽に水を入れて、そいつをそこに移そうとした。
だがしかし相手はウナギ。つるるんつるるん。ドジョウなら全然問題なく確保できるわしの技術がウナギには通用せず、挙句の果てに生簀から脱出されてしまった。ああぁわしの3万ウォン……。


そして、がっかりはそれだけにとどまらなかった。


砂地のところで、カマツカたちに混じって、ちょっと「何か違う」ものがとれた。
その感覚は……例えるなら、ドジョウすくいですくったドジョウたちの中に何故か1匹だけ「ポリプテルス」の稚魚が混じっていたらどうだろう? ジャラジャラした小さいガラス玉の中に、1個だけダイヤモンドの玉があるのが目に入ってしまったらどうだろう? 「え? ま、まさか、本当に!?」そんな感覚に近いと思う。
そこでとれた魚たちを携帯水槽に入れて、急いでベースキャンプまで戻り、撮影用水槽ではっきりと見極めなければならない。まずはそう思った。そしてそれを実行したわし。ああ、何故この時「とれたときにその場で写真に撮らなかった」のだろう。
そしてベースキャンプに戻ると、わしの携帯水槽から「そのまさか」がいなかった。そう、消えうせていたのだ。
まさか、入れるときにしくじってちゃんと携帯水槽に入らなかったのでは?とさえ思った。
だが、答えは数十分後に明らかになった。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
生簀に入っていた꺽지が、胃の中から食べた魚を吐き出したのだが、その魚がこれだ。見る人が見れは一見してカマツカ亜科の魚と分かるだろう。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
だがしかし、裏返してみると、頭部には合計4対のヒゲが!

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)!!
なんてこったい。わしの「まさか」は「そのまさか」だったのだ。
誇張表現ではなく本当にわしは頭を抱え込んだ。
絶滅危惧1種。韓国に生息する3種のGobiobotia(ドジョウカマツカ)属のうちの最後の1種にしてもっとも出会うのが困難な魚種。いつ天然記念物に指定されてもおかしくない魚だ。それが꺽지の口の中に。
とすると、携帯水槽に入れたときに、その中に入っていた꺽지がカマツカやら他の小さい魚たちがいたにも拘らず、貴重なそいつをパクリとやってしまったということだろう。

Gobiobotia属の3種が全部生息する場所なんて、韓国内に片手で数えるくらいあるかどうからしい。
しかも、1回の採集日程に3種すべて網にかかるなんて、恐らくそう滅多にあることではないと思う。
ああ、生きているGobiobotia属の3種を全部並べて写真に撮ってみたかった……。


このがっかりがあまりにも後を引いたためか、本来行うべき撮影タイムを忘れてしまった。井上さんがたくさん釣られたタナゴたちを記録に残さねばならなかったのに、それを怠ってしまった。
おまけに、昼食も兼ねて採集場所から撤収する際に、車を川原の石にスタックさせてしまった。幸いなことに、井上さんが本業の腕(井上さんは自動車の電装系整備場の사장님でいらっしゃるのだ)を発揮してくださり、なんとか脱出できた。わし一人だったらいろいろと厄介なことになっていたかもしれないと思うと感謝しても感謝しきれない。


次に臨津江に行く機会があったら、また흰수마자にチャレンジしてみたい。なんとしてでもまた出会いたい。
今回の1枚目の写真に写っているとおり、上流ではダムが建設中だ。このダムは北朝鮮にあるダム放流による韓国側の水害防止のためのダムであって、通常はダムとして機能しないと言われているが、この工事が完成するまでにあの場所に흰수마자が生息しなくなってしまう可能性もない訳ではない。


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アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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