行ってきました夫余錦江支流ガサガサ:撮影タイム

前回の続き。


短い仮眠の後は簡単に食事をして撮影タイムだ。피라미(ピラミ 和名オイカワ Zacco platypus)たちはみんな飛び跳ねて、生簀代わりのタモ網からいなくなっていたが、それ以外の魚は特に問題なし。



 
미호종개(ミホジョンゲェ 美湖條鰍 和名ミホシマドジョウ Iksookimia choii → Cobitis choii)
天然記念物미호종개(ミホジョンゲェ 美湖條鰍 和名ミホシマドジョウ Iksookimia choii → Cobitis choii)様である。
素晴らしい。( ̄_ ̄)
もうね、日韓ちゃんぽんでドジョウ特集をするとしたら……本気で全国を回らなければならないからすぐにはできないことは分かりきっているのだけど、もしやるとしたら……こいつと부안종개(ブアンジョンゲェ 扶安條鰍 和名プアンシマドジョウ Iksookimia pumilus)の2種だけはどうしてもお目にかかれないので全種コンプリートは無理だと思っていたのだ。
미호종개は「あそこにいるらしい」という情報は掴んでいるのだが、今となってはもうがっちりと保護されてわしなんかが入り込む隙もないはず。そこへこれだ。わしが叫ばないはずがないではないか。

미호종개(ミホジョンゲェ 美湖條鰍 和名ミホシマドジョウ Iksookimia choii → Cobitis choii)
さらにミホシマ様。
そう。最初は網にかかってしまうたびに叫んでいたさ。だがしかし、今回の記事の1枚目の写真(風景写真)で右側が上流で左側が下流。でもって写真の右のほうに行けば行くほどどんどん網にかかって絡む絡む。でもって、水は濁っていて透明度10センチといったところなのだけど、辛うじて川底が見えるところではわしが一歩足を踏み出すたびごとに、ドジョウがわあっと(主に上流方面に)散っていき、しばらく行ったところでずぽっと砂の中に入る、という光景が繰り広げられる。この光景、テレビのドキュメンタリーで見た미호종개の光景そのままだったよ。

미호종개(ミホジョンゲェ 美湖條鰍 和名ミホシマドジョウ Iksookimia choii → Cobitis choii)
さらに別のミホシマ様。
もうね、なんか禁断の地に踏み込んでしまった気がして、恐ろしくなってしまい、上流方面の調査をあきらめてしまったわし。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)。미호종개は砂と泥が程よく交じり合うところにいっぱいいたけど、シラヒゲ様はやはりシラヒゲ様らしい場所にいた。どういう場所かというと、水の流れが結構あり、川底は泥が混じっていない、砂がさらさらで踏み込んだら20センチくらい埋まるような場所。

흰수마자(フィンスマジャ 和名シラヒゲカマツカ Gobiobotia naktongensis)
もういっちょシラヒゲ様。
実は、今回シラヒゲ様がとれたといっても、その個体は昨年生まれて冬を越した個体ばかりだった。つまりそれなりに大きくなった個体がとれなかったということだ。
これは、家に帰って現場の衛星写真を見て分かった事なのだが、今回の採集場所からさらにもうちょっと上流に早瀬があるようだった。これを見て「しまった」と思った。シラヒゲ様の成魚たちは恐らくここにいる。
わしがミホシマ様の天国を恐れずに突き進んで、さらなる上流に踏み入っていたならば、立派なシラヒゲ様に出会えていた事だろうに。
それにしても、今回で本家洛東江水系、漢江水系(臨津江水系)、錦江水系のシラヒゲ様に全部会ってしまったよ。

됭경모치(トェンギョンモーチー 和名ヒメカマツカ Microphysogobio jeoni)
続きましては今回の目標魚種である됭경모치(トェンギョンモーチー 和名ヒメカマツカ Microphysogobio jeoni)。この個体はメス。
됭경모치について、図鑑やらインターネット上に転がっている写真やら標本写真やらを見ていたのだけど、なんかピンと来なくてね。돌마자(トルマジャ 和名ムナイタカマツカ Microphysogobio yaluensis)とどう違うのかが区別できなかった……というか、돌마자の幼魚を됭경모치と誤認しているんじゃないの?とさえ思っていた。
しかしながら、こうして実際に肉眼で見てみると、いやぁ違う。百聞は一見に如かずとはこのことだなと思った。惜しむらくは、わしが見たこの「百聞は一見に如かず」の感動が写真からだと今ひとつ伝わらないようだということだ。わしの写真の腕が未熟なだけかもしれないけれど。

됭경모치(トェンギョンモーチー 和名ヒメカマツカ Microphysogobio jeoni)
こちらは됭경모치のオス。
前回でも書いたけど、体長3センチにも満たない돌마자の幼魚がそのままスケールアップして体長6センチくらいになってるって感じ。頭部に占める目の大きさが、なんか少女マンガの目のような感じ。頬も低いしね。しかも体は透明感のあるギンギラギン。


돌마자と比較してみた。手前と奥が돌마자。真ん中が됭경모치。
目が大きいし、頭もスレンダーだ。


今度は上から。上2匹が됭경모치。下2匹が돌마자。やはり体も됭경모치のほうがスレンダーだ。
돌마자は胸鰭の付け根がオレンジ色に染まっているが、됭경모치はそうなっていない。


もういっちょ。
こうして見ると、돌마자はいかにもコブクロカマツカ属って顔をしているけど、됭경모치はなんかコブクロカマツカ属とホソモロコの中間のような感じさえしてくる。


続いてはモロコ。こいつらは採集地のベースとした場所よりも下流側に行けば行くほどたくさんいた。
ガサガサ時は、こいつらみんな참몰개(チャムモルゲェ 和名コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae)だと思っていたが、撮影タイムの際に、どうやらそうではなさそうだということに気がついた。

참몰개(チャムモルゲェ 和名コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae)
まずこちら。太くて長い口ひげ。長さは目の周囲の半径よりも長い。これは참몰개(チャムモルゲェ 和名コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae)だ。

몰개(モルゲェ 和名不明 コウライデメモロコ? Squalidus japonicus coreanus)
そしてこいつ。細くて短い口ひげ。長さは目の周囲の半径よりも短い。これは몰개(モルゲェ 和名不明 コウライデメモロコ? Squalidus japonicus coreanus)だ。
つまりこの場所には、スゴモロコ属が2種類生息していたわけだ。その2種がそれぞれどのくらいの割合になるのかは、これはもっとたくさんの個体を採集してみないとなんとも言えないな。

줄몰개(ジュルモルゲェ 和名シマモロコ Gnathopogon strigatus)
줄몰개(ジュルモルゲェ 和名シマモロコ Gnathopogon strigatus)。
なんか最近いろんなところでこつこつとお目にかかるな。やはりCobitisのいるところシマモロコあり、ということか。
でもこいつら、天然記念物様の近くではなくて、この川の割と深いエリアでのみ採集できた。もっとも深夜ガサガサなので昼間の生息域とは異なっているだろうけど。

참몰개(チャムモルゲェ 和名コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae)
참몰개(チャムモルゲェ 和名コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae)の女王様。
これだけ大きいと貫禄あるなぁ。
実は今回の遠征で何匹かお持ち帰りしたのだけど、お持ち帰りの最中に水槽の中で「産卵」してしまった奴がいる。こんなこと初めてだよ。(^^;;)
でもって、その産卵の犯人がこの줄몰개と참몰개のどちらかと思われるだす。

납자루(ナプジャールー 和名ヤリタナゴ Acheilognathus lanceolatus → Tanakia lanceolata)
続いてタナゴ。今回は납자루(ナプジャールー 和名ヤリタナゴ Acheilognathus lanceolatus → Tanakia lanceolata)しか出会えなかった。가시납지리(ガシナプジーリー 和名チョウセントゲタナゴ コウガイタナゴ Acanthorhodeus gracilis → Acheilognathus chankaensis)あたり期待したのだけどな。

납자루(ナプジャールー 和名ヤリタナゴ Acheilognathus lanceolatus → Tanakia lanceolata)
オスがなかなか良い婚姻色を出してくれているのだが、写真写りが悪い。頭部に出ている紫色でどうか察していただけるとありがたい。

민물검정망둑(ミンムルコムジョンマンドゥク 和名ヌマチチブ Tridentiger brevispinis Katsuyama)
採集地には、一部川底に石が帯状に転がっている地帯があった。この場所は水が少ない冬季などに早瀬になると思われる。その地帯でのみ민물검정망둑(ミンムルコムジョンマンドゥク 和名ヌマチチブ Tridentiger brevispinis Katsuyama)が網にかかった。

민물검정망둑(ミンムルコムジョンマンドゥク 和名ヌマチチブ Tridentiger brevispinis Katsuyama)
地理的には錦江の下流にあたる場所であるため、汽水域に住む검정망둑(コムジョンマンドゥク 和名チチブ Tridentiger obscurus)が生息する可能性もあったのだけど、背びれを見る限り민물검정망둑のようだ。

20130513.jpg
というわけで、今回のガサガサで出会った「特徴的な魚種」とその出会った場所を図に書いてみた。
この図は言うまでもなく、この貴重なポイントを教えてくださった「達人」조先生に対する感謝の意を表したものだ。ちなみに上が上流、下が下流。
この場所は本当に、錦江らしい生態系がしっかり保存されている場所だと思う。この場所がこれからもずっと、ちゃんと保存され、いつでも貴重な魚たちに出会えるようになることを願ってやまない。


というわけで今回はここまで。
中央遠くに見える山は칠갑산(チルガプサン 七甲山)。韓国人の大人なら殆どの人が知っている唄「七甲山」の、まさにその山だったりする。この唄難しいんだよねぇ。「ちーるがぷさん、さぁーんまるうぅぅぅえ~~~~」とか歌ってみながらわしも帰途についた。
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tag : 錦江

コメント

非公開コメント

No title

アキミツさま

コブクロカマツカ属2種を同時に比べるとよくわかりますね。

ミホシマも最高。

こういう絶好のポイントは手つかずのまま残って欲しいモノです。

それと、「今回の採集場所からさらにもうちょっと上流に早瀬があるようだった。これを見て「しまった」と思った。」 この気持ち、わかります、わかります。

No title

素晴らしかったです。
IksookimiaとCobitisをいったり来たりしている理由がよくわかりました。
これは絶滅させてはいけません。

それにしてもヒメカマツカはすごいですね。
コウライモロコがゼゼラに変化している途中というか・・
シラヒゲカマツカも胸鰭が大きくて可憐です。

Re: No title

らいあます様
コメント有難うございます。
最近は東大の研究所のほうにいらっしゃるのですか?

> コブクロカマツカ属2種を同時に比べるとよくわかりますね。

いつか時間があるときに、韓国のコブクロカマツカ属を全部比較してみたいと思います。

> こういう絶好のポイントは手つかずのまま残って欲しいモノです。
>
> それと、「今回の採集場所からさらにもうちょっと上流に早瀬があるようだった。これを見て「しまった」と思った。」 この気持ち、わかります、わかります。

衝動的には行けない場所ですが、もう1回行ってみたいなという思いが湧いてきています。
この川はさらなるポテンシャルを秘めているかもしれません。
次に行くときは、釣り道具を持って、カワアカメSqualiobarbus curriculusも狙ってみようかな……なんて。

Re: No title

おいかわ丸様
コメント有難うございます。

> 素晴らしかったです。
> IksookimiaとCobitisをいったり来たりしている理由がよくわかりました。
> これは絶滅させてはいけません。

今振り返ってみますと、骨質板がきれいに撮れた写真がありません。
もっとよく考えて撮影しておくべきだったと後悔しきりです。


> それにしてもヒメカマツカはすごいですね。
> コウライモロコがゼゼラに変化している途中というか・・

Microphysogobioは世界で25種記載されているのですが、韓国にいるMicrophysogobioの中でもヒメカマツカはちょっと系統が外れているのではないかと思うのです。


> シラヒゲカマツカも胸鰭が大きくて可憐です。

シラヒゲカマツカの現物をご覧になったら、きっと叫んでいただけると思うのです。

No title

アキミツさま

そうなんです。いろいろあって、柏にある東大大気海洋研究所に週4日で行っています。
やってることは、微生物の研究室で、実験の補助と言う技官のお仕事です。

というわけで、千葉県博になかなかいれないのが難点ですが、週1、2日は博物館でお仕事してます。

韓国への旅が益々遠くなった感じです・・・(^^;)

Re: No title

らいあます様

> そうなんです。いろいろあって、柏にある東大大気海洋研究所に週4日で行っています。

なんと!そこでしたら実家から千葉中央博物館に行くより近いです。車が使えるなら20分くらいで行けてしまうかも。
もし今年の秋くらいまでその仕事をされるのでしたら、のちほど連絡いたしますね。

No title

アキミツさま

いつまでかは定かでないのですが、すぐにやめるということはないですよ。

連絡、お待ちしています (^o^)/
プロフィール

アキミツ

Author:アキミツ
97年から韓国に住んでいます。妻は韓国人、子供たちは二重国籍です。
韓国の田舎で野良仕事からサーバー管理まで仕事をしつつ、ときどき川に行ってはガサガサして魚をとってます。

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